Tableau2025.3新機能:カスタムカラーパレットとワークブックのカラーパレットの割り当て
はじめに
Tableau2025.3がリリースされました。
注目の機能としてカスタムカラーパレットとワークブックのカラーパレットの割り当てがあります。
カスタムカラーパレット
Tableau Desktop 内で直接カスタムカラーパレットを作成・保存することで、ブランドの一貫性を保ち、ビジュアライゼーションのスタイルを整えることができます。
ワークブックのカラーパレットの割り当て
新しいパレット設定により、ワークブック全体で色の一貫性を確保できます。
これらの機能により実現されることについて詳しく解説していきます。
従来の課題
これまで、Tableauでブランドやプロジェクト固有の色を徹底して適用するには、いくつかの手間や課題がありました。
① パレット管理の煩雑さ
- カスタムカラーパレットを使用するには、XML形式のPreferenceファイル (.tps)を直接編集する必要があった。
- パレットの追加や修正のたびにTableau Desktopを再起動する必要があった。
② ワークブック全体での統一性の欠如
- 「地域」と「製品」など、異なるフィールドに同じブランドカラーを使いたい場合、都度手動で同じ色コードを探し、適用し直す必要があった。
- フィールドを置き換えたり、データソースを置き換えた際に、せっかく設定したカスタムの色がデフォルトに戻ってしまい、再設定が必要だった。
これらの結果、
- データ分析の本質的な作業よりもビジュアルの標準化に多くの時間を費やしてしまう。
- 複数のクリエイターが関わる環境にて、ブランドカラーの再現性や一貫性を維持するのが困難。
- 意図しない色のバラつきにより、データの意味の誤認識を引き起こす。
といったリスクがありました。
参考:従来のカスタムカラーパレット作成方法
Step1:ドキュメントにあるマイTableauリポジトリフォルダ内のPreferenceファイル (.tps)をメモ帳等で開きます。
Step2:<workbook>~</workbook>部分に<preferences>~</preferences>を使用してコードを記載します。
Step3:Tableau Desktopを再起動します。
新機能でできるようになったこと
カスタムカラーパレット
これまでアプリケーション外での編集が必要だったカスタムカラーパレットを、Tableau Desktop内のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)で直接、視覚的な操作で作成・変更・保存できるようになりました。
- 正確な色を直接入力: 16進数コードやRBGの値を使って正確な色を視覚的に登録・保存できます。
- 再利用性: 作成したパレットは、設定ファイルに保存されるため、すべてのワークブックで再利用可能です。
手順
Step1:色の編集を開き、カラーパレットの選択からカスタムパレットの作成を選択します。
Step2:パレットの名前を入力します。ここで、ベースとしたい既存のカラーパレットを選択することができます。
Step3:スウォッチを追加からパレットに追加したい色を選択します。
また、スウォッチを貼り付けるをクリックと、16進数またはRGBの値からパレットに色を追加することができます。
Step4:OKをクリックすることで、カラーパレットの選択欄に作成したパレットが表示されます。
ワークブックのカラーパレットの割り当て
カテゴリ別のパレット、分化のパレット、連続パレットといったデフォルトのカラーパレットをワークブックに対して一度設定するだけで、すべてのVizとダッシュボードに一貫したスタイルを自動で適用できるようになりました。
- 即時適用: 設定を適用した瞬間に色が一括で統一されます。
- Webでの有効性: Tableau Desktopに加え、Tableau CloudおよびServerのWeb作成機能でもこの設定が有効になるため、共同作業やクラウド環境での編集時も色のブレが一切なくなります。
パレットの種類一覧
| パレットの種類 | 適用されるフィールドの性質 | 例 |
|---|---|---|
| カテゴリ別のパレット | ディメンション(不連続):個々の項目を区別する値 | 顧客区分、製品名、地域など |
| 分化のパレット | メジャー(連続):0や基準値を跨ぐ数値(正負を持つ) | 利益合計、増減率など |
| 連続パレット | メジャー(連続):値の大小を持つ数値(一方向) | 売上合計、数量など |
手順
Step1:ツールバーの書式設定からワークブックをクリックすると、ワークブックの書式設定欄にカラーパレットの欄が新たに追加されています。
Step2:それぞれにワークブック全体として適用させたいパレットを選択します。
カテゴリ別のパレット
分化のパレット
連続パレット
ワークブックのカラーパレットの割り当てにおける注意点⚠️
自動適用される非常に便利な機能ですが、パレットの適用ルールには注意が必要です。
① カテゴリ別パレットの適用
ワークブックのデフォルトパレットをカテゴリ別に設定した場合、「顧客区分」や「製品カテゴリ」など異なるディメンション(区分)の色分けでも、すべて同じパレットが適用されてしまいます。
そのため、異なるディメンションの色がすべて同じルールで統一されてしまうため、意図しない色が使われていないか確認し、データの意味を誤認識するリスクに注意が必要です。
② 連続値パレットの自動切り替え
「利益」のような連続値を色分けする際、ビューの粒度やフィルタリングによって、マイナス値がない場合は連続パレットが使われ、マイナス値が存在すると分化のパレットに自動で切り替わります。
そのため、意図した通りに色分けがされているか、データの粒度(ビューの集計レベル)を変更した際に色がどう変化するかをチェックする必要があります。
活用例
カスタムカラーパレット
活用例 1:ブランドカラーの徹底
ブランド担当者やデザイン部門がDesktopのGUIから直接カラーパレットを作成・保存できます(作成したパレットはクリエイター自身の設定ファイルに保存されます)。XMLファイル編集という手間がなくなったことで、ブランドカラーの正確な登録と再利用が容易になるため、ブランドの見た目の統一性が保証されます。
ワークブックのカラーパレットの割り当て
活用例 2:大規模ワークブックでの時間短縮
ワークブックのデフォルト設定としてパレットを一括指定します。これにより、新規作成するVizは自動的に正しい色で塗り分けられ、個々のシートでの色の調整の手間がゼロになります。分析作業以外の反復作業から解放され、作成時間が大幅に短縮されます。
活用例 3:共同作業での品質保証
Tableau Desktop、Tableau Cloud、および Tableau Server の Web 作成機能で利用ができます。ワークブックレベルで設定されたデフォルトパレットが反映されるため、誰が、どの環境で編集しても、常に一貫したブランドカラーが適用され、共同作業時の品質が保証されます。
おわりに
今回の新機能は、特にブランドカラーの一貫性が求められる場合や、大規模なワークブックを作成する際に有効です。
カスタムカラーパレットの作成・保存がGUIで可能になり、さらにワークブック全体の色を一度に統一できるようになりました。
これらの新機能をぜひご活用ください。











