2025年12月22日、日本科学未来館がTableauユーザーの熱狂に包まれた「JTUG総会2025」。私たちキーウォーカーからも複数のメンバーで参加してきました!
会場では多くのセッションが同時並行されていたため、すべてを回ることは叶いませんでしたが、その分、参加メンバーが「これは業務に活かしたい!」と持ち帰ったメモは、どれも一級品の知見ばかりです。
本記事では、私たちの目と耳で受け取った「現場の知恵」と「熱狂」をぎゅっと凝縮。完全版に近いボリュームで、当日の熱量をレポートします。当日参加できなかった皆さんも、ぜひ日々の業務やデータ活用のヒントとしてお役立てください!
公式サイトはこちら: JTUG総会2025『Tableau Festival – つながる、うまれる、ひろがる』
本記事でカバーしているセッション
- オープニングセッション(Salesforce 福島氏)
- 基調講演:つながりをデザインする——データビジュアライズが生む新しい対話(山辺 真幸 氏)
- スポンサーセッション(CData様 / truestar様 / tA Brewing様)
- Tips Battle 2025
- データの力でつながる社内 -Tableauが広げた活用の輪-(ダイハツ工業様 / 星野リゾート様)
- コミュニティ企画
※あわせてチェック!本記事でカバーしきれなかったセッション
会場では他にも魅力的なコンテンツが目白押しでした。こちらの内容はぜひ公式のアーカイブや他の方のレポートも参照してみてください。
- Tableau tuneup / 相談室
- オープンデータバトル2025決勝戦
- VizつくりまShow! ハンズオンセッション -チャンピオンと学ぶVizの作り方-
- JTUG総会2025 たぶラジ公開収録
- VizつくりまShow!2025 #VizTS
オープニングセッション
登壇者:株式会社セールスフォース・ジャパン 福島 隆文 氏
セッションは、参加者400名と、設営に尽力した80名超のスタッフへの謝辞からスタート。この1年の振り返りとTableauの最新ロードマップを通じ、会場の機運を一気に高めるエネルギッシュな幕開けとなりました。
データ利活用の現状:「関心」を「成果」へ
データドリブン経営の重要性が叫ばれる中、日本企業の現状と課題について以下の通り言及がありました。
- 市場の現状
楽天の北川氏によるTableau活用の事例などをきっかけに、データドリブン経営の機運は加速しています。 - 「8%」の壁
ガートナーの最新調査によると、データ活用に「全社的に十分な成果を得ている」と答えた日本企業はわずか8%。関心を持つ企業は増えていますが、実際の成果へ転換することが今後の最重要課題です。 - 2030年への展望
AIとデータはもはや付加価値ではなく「ビジネスのコアスキル」に。ここに集まった参加者こそが、日本経済を成長軌道に戻すキーパーソンであると強調されました。
Tableauの最新アップデートとAI戦略
「日進月歩で変化する時代」に対応するための、Tableauの最新機能および今後のロードマップが紹介されました。
- セマンティックレイヤーの構築
社内のみならず社外とのデータ連携を加速させ、投資効率を最大化します。 - エコシステムの拡大
Slack統合やSalesforceの「Agentforce」に加え、ChatGPTやClaudeといった外部LLMとの相互運用性を強化。 - ユーザー体験の変革
AIによる自動化ダッシュボード自動作成やAIによる自動解説、データストーリーテリング機能により、データ活用のハードルが劇的に下がります。 - Text to SQLの進展と高度なデータ処理
自然言語での問いかけに対し、LLMを経由して即座に回答(SQL)を得られる環境を整備。さらに、外部CSVを取り込んだ上での追加質問・回答生成が可能になります。
世界のトレンドと日本の立ち位置
グローバルな視点から、日本が現在直面している厳しい競争環境について警鐘が鳴らされました。
- テクノロジーの変遷
AIは単なる「対話(チャット)」の道具から、「自律(エージェント)」へとフェーズが移行しています。「BI × AI」をどう使いこなし、ビジネス成果に繋げるかという真価が問われる時代に突入。 - 国際的な競争力
スタンフォード大学のAI活発度ランキングにおいて、日本はかつての4位から9位へと順位を落としています。米国・中国が圧倒的なスピードで先導する中、日本が再び成長軌道に乗るための鍵こそが「データの利活用」であると説かれました。 - スポーツ×データの最前線
ミラノ・コルティナ・ダンペッツォ冬季五輪やW杯など、世界的なビッグイベントでもデータの活用やマネタイズが急速に加速。グローバルではあらゆる領域でデータが戦略の核となっています。
Tableauコミュニティが創出する価値
最後に、福島氏より本コミュニティの真価について熱いメッセージが語られました。
「個人の成長」と「組織・ビジネスの成功」を両立させること。
参加者が互いに情報を共有し、可視化された成果を出し続けることで、データ活用の真の価値を世の中に証明していく。その積み重ねこそが、2026年、そしてその先の未来への投資に繋がると力強く締めくくられました。
つながりをデザインする——データビジュアライズが生む新しい対話
登壇者: 山辺 真幸 氏(一橋大学 特任講師 / 慶應義塾大学 特任講師 / UMT株式会社 代表取締役)
可視化を単なる「分析の道具」ではなく、専門家、デザイナー、市民をつなぎ、新しい問いやアクションを生み出す「対話のデザイン」として捉え直す刺激的なセッションでした。
複雑さを「対話」に変える:新型コロナウイルスの3次元系統樹
コロナ禍にNHKや東海大学と連携して制作されたビジュアライズ事例を通じ、可視化の本質が語られました。
- 課題とアプローチ
従来の2次元的な系統樹では欠落していた「時空間(いつ・どこで)」の情報を補完するため、ゲノムデータと地図・時間軸を組み合わせた3次元系統樹を構築。 - 「共通言語」としての可視化
単にデータをプロットするのではなく、計算手法を用いて情報の「束」を作り出し、重要な分岐点を浮き彫りにしました。これにより、専門家(医師・生命科学者)とデザイナーが同じ画面を見ながら、「なぜここで変異したのか?」と対等な立場で語り合える場が生まれました。 - 「完成形」ではなく「プロセス」に宿る価値
可視化のゴールは、綺麗な図を作ることではありません。「専門知(ドメイン知識)」と「デザイン」が主従関係を超えてループ(対話)を繰り返すプロセスそのものに価値があり、その対話からこそ、真のインサイトが生まれます。
参考: Time-space-based 3D visualization of SARS-CoV-2 phylogeny
ビジュアライゼーションが提供する「ビジョン」
データビジュアライゼーションの本質は、単なる情報の整理ではありません。私たちがこれからどういう世界で生きていくのかという「ビジョン」を提示することにあります。
- 環境・社会課題への応用
真鍋淑郎氏の基礎研究に基づく海流データ、マイクロプラスチックの拡散(九州大学・磯部教授)、線状降水帯のシミュレーションなど。 - 経済・物流の可視化
農作物の輸出入(金本教授)や、自然エネルギーのみで航行する自律航行船(エバーブルーテクノロジー社)の取り組み。
可視化によって「世界を再認識」することが人の心を動かし、具体的なアクション(意思決定)へとつながります。
可視化の歴史:世界を再認識しようとするパッションの系譜
可視化の歴史は、その時代の社会変化や知の探究と密接に関わってきました。
- 17世紀〜:ガリレオによる落下の観測(力学の可視化)。
- 18世紀〜:ウィリアム・プレイフェアによる統計学。貿易社会の広がりとともに可視化が普及。
- 19世紀:ミナールによるナポレオン遠征図(モノの移動の可視化)、鉄道網の計画。
- 20世紀:アイソタイプ(教育水準を問わず理解できる図記号)による社会構造の可視化。国連などで使われるメルカトル図法を超えた新しい世界観の提示。
未来への展望:AI時代の可視化と共創
膨大なデータとAIが共存する未来において、可視化の役割はさらに重要になります。
- 見ないと、考えられない
AIや膨大な計算資源が登場しても、人間は「可視化」なしには思考を前に進めることができません。 - 専門家がまだ見ていない視点を
専門家ですら全てのデータを見ているわけではありません。可視化によって「新しい分析の起点」を提示することこそが、プロジェクトの成功を意味します。
「わかりやすくする」だけでなく、新しいビジョンを共有し、対話を楽しむことがデータビジュアライゼーションの本質です。
おわりに
「研究者とデザイン・可視化は主従関係ではない。お互いが一つの研究をしている関係性であり、可視化は研究者に新しい視点をもたらすもの。研究者と可視化で対話のループが多く回ることによって、思っていないものが出来てくる。研究者に対して新しい視点を提供できたプロジェクトこそが、成功したプロジェクトだと感じる」という言葉が印象的でした。
このJTUG総会の参加者はビジュアライズにパッションを持っている仲間であり、だからこそ単に可視化でわかりやすくするのではなく、可視化を楽しみながら、ドメイン知識を持った専門家に見てもらったり、専門家と一緒にプロジェクトを進めるなど、対話しながら作ることを心掛けてほしいという熱いメッセージで締めくくられました。
スポンサーセッション
社長の無茶振りをAI でさばく!CData Connect AI & Tableau で試みる新しいデータ分析アプローチ
登壇者:CData Software Japan 合同会社 様
データ分析の現場で後を絶たない、経営層からの「急ぎでデータが見たい」「この切り口で出して」といった、いわゆる「無茶振り」。本セッションでは、これらをAIがフロントに立って受け止める、革新的なデータ分析アプローチが紹介されました。
プロジェクトの背景:データ利活用の理想と現実
現場担当者は、日々以下のような悩みに直面しています。
- 業務の圧迫:大量の抽出・分析依頼により、本来取り組むべき業務が後回しになる。
- 手戻りの発生:時間をかけて作成しても「イメージと違う」と言われてしまう。
- 認識の乖離:「なぜ抽出にそんなに時間がかかるのか」という経営層との温度差。
全従業員がデータを扱えるのが理想ですが、多忙な経営層に複雑なツールの操作を強いるのは現実的ではなく、また経営層には経営層が行うべき重要な経営判断があります。
「そもそもなぜ社長からの無茶ぶりが多いのか?」ということに立ち返って考えてみると、日々利用するダッシュボードはモニタリング利用がメインです。しかし、社長が知りたいのはKGI・KPIといった結果だけではなく、その要因と対策です。そのため、社長からのリクエストはダッシュボード上に存在しない切り口=無茶振りになってしまうという構造があります。
ソリューション:AIをフロントに据えた「データ基盤の構築」
社長の「無茶振り」をAIが受け止め、即座に回答を生成する仕組みを提案します。
■コンセプト:専門知識とログインの壁を取り払う
- AIにSQLを書かせる
専門的な知識が必要なクエリ作成はすべてAI(Claude等)が担当。ユーザーがデータの構造を理解していなくても、自然言語で問いかけるだけで適切なデータ抽出が可能になります。 - 既存ツール(チャット)との統合
社長が普段使い慣れているSlackやTeamsなどのインターフェースから直接データを届けます。Tableauやデータベースへの個別のログインを不要にし、「今、知りたい」をその場で完結させます。
■技術構成:最新の「MCP」を活用したセキュアな連携
- CData Connect AI
生成AIと各種SaaS(Kintone, Salesforce, Google BigQuery等)をシームレスに繋ぐコネクターとして機能します。 - MCP(Model Context Protocol)の採用
Anthropic社が提唱した、AIモデルが外部データやツールと安全に連携するための標準プロトコル「MCP」を活用。
これにより、ClaudeなどのAIが直接KintoneやSalesforceのデータへアクセスし、回答することが可能になります。
データ分析の新しいワークフロー
AIによる即時回答と、Tableauによる継続的なモニタリングを使い分けます。
- 役割ツール内容アドホック分析:AI (Claude) + CData
社長の突発的な質問に対し、AIがSQLを生成・実行して即座に回答。 - モニタリング:Tableau
確定したKPIの追跡や、定点観測用のダッシュボードとして活用。 - データの透明性:SQLの可視化
AIが「何に基づいてその数値を算出したか」を可視化し、コミュニケーションコストを削減。
社長の無茶振りはすなわち「社長が持っている要求の現れ」でもあります。AIをファーストタッチインターフェースとして、可視化・分析。その結果でがSQLで生成されるため、SQLを元にどこのデータベース・テーブル・カラムから取得されたかが分かります。
最終的に実務に落とし込むためには、現状ダッシュボードが必要不可欠です。この「社長の無茶振り駆動データ基盤」では、社長とAIのデータ探索を元に、理想のダッシュボードを作成することが可能となります。
まとめ:AIを「実務パートナー」へ
CData Connect AIを活用することで、AIを単なる「チャット相手」に留めず、実業務データ(SaaS)を自在に操る「実務パートナー」へと進化させる。これにより、担当者は「データを作る時間」から「アクションを考える時間」へシフトできるようになります。
10分で分かるTableau納品のススメ
登壇者:株式会社truestar 様
Tableauプロジェクトの終盤や担当者変更の際、「何をどこまで整理すべきか」という悩みは尽きません。本セッションでは、「後から見た人が迷わない」ための本質的な納品Tipsが凝縮されていました。
秘伝のタレから「レシピ文化」へ
多くの現場で、Tableauワークブックが作った本人にしか解読できない「秘伝のタレ(属人化)」状態になっています。秘伝のタレ状態では、属人的で品質が人に依存し、引継ぎが困難となります。これを、誰でも同じ品質を再現できる「レシピ」の状態へシフトすることが重要です。
また、 レシピ(設計・ドキュメント)は納品の直前に慌てて作るものではありません。理想は開発前、あるいは並行して作成を完了させておくことです。
レシピ化することによって、以下のメリットがあります。
- 共通ルール・テンプレ運用で標準化が可能
- 作成・レビューが高速かつ安全に出来る
- 再現性が上がり、引継工数減がかなう
よく紹介されているレシピ化の例として、以下が紹介されました。
- 分かりやすい粒度・命名でフォルダを作成し、フィールドのグループ化をする
- 計算フィールドにコメントを残し、後から見た人が分かるようなコメントを残す
- 計算フィールドの命名規則を定め、曖昧な命名を避け伝わる名前にする
- 不要なもの(計算フィールド・パラメーター・アクション・シート)を削除していく
- 初期表示(あるべき姿)のキャプチャ保存
- 拡張性を担保するためのダッシュボードテンプレートの開発・納品
まとめ:良い納品とは「未来の対話」である
「秘伝のタレ」を作らず「レシピ」を作る。これは単なる作業の効率化ではなく、次にバトンを受け取る人、あるいは数ヶ月後の自分への「思いやり」です。誰が見ても正解が分かり、再現できる状態を整えること。それこそが高品質な納品の本質であると締めくくられました。
クラフトビール造りとVizづくりの共通点 Part.2
登壇者:tA Brewing合同会社 様
大阪府八尾市を拠点に「ブルワリー(ビール造り)」と「データ分析支援」の二つの顔を持つtA Brewing様による、異色のコラボセッション。一見遠く離れた世界にある「ビール」と「Viz」に共通する、クリエイティブの本質が語られました。
クラフトビールとVizの意外な共通点
「造り手」の視点から、両者には以下の3つの大きな共通点があることが提示されました。
①「作る前」に全てが決まっている
ビール造りは、麦芽やホップの配合を決め、完成の味を精緻に設計する段階で勝負が決まります。これはVizづくりも同様です。ツールを触り始める前に、「誰に何を伝えたいか」「どのようなインサイトを届けたいか」という設計図を固めることが、最終的な成果物の質を左右します。
② 右脳と左脳のハイブリッド
- 左脳(論理):ビール造りにおける温度管理や化学反応の計算、Vizにおけるデータロジックや計算式。
- 右脳(感性): 飲み手の心を動かすフレーバーのデザイン、Vizにおける視覚的な美しさや直感的なデザイン。 どちらか一方が欠けても、良いものは生まれません。論理と感性の両輪を回すことが、人々に愛されるビールやVizを生む鍵となります。
③ 完成は「対話」の始まり
ビールもVizも、「作って終わり」ではありません。
- ビールは、グラスに注がれ、誰かが口にして会話が弾むことで価値が完結します。
- Vizも、ダッシュボードが共有され、それを見た人が意思決定や対話を行うことで初めて価値を持ちます。
どちらも「コミュニケーションを活性化させるためのデバイス」であるという点が共通しています。
データを扱う上で大切にしていること
技術スキル以上に大切な、プロジェクトを成功させるためのマインドセットも印象的でした。
- 明るく元気に反応すること: データの現場は時に孤独や複雑さに直面しますが、チームとしての対話を止めない「明るいレスポンス」こそが、プロジェクトの潤滑油になります。
- 「人」に惹かれる仕事選び: Vizやビール、そのプロダクトそのものだけでなく、それらにパッションを持っている「人」と一緒に仕事をすることを大切にしています。
- 素材の持ち味を活かしきる: 大阪・八尾の特産品である「八尾若ごぼう(茎まで食べられるのが特徴)」のように、素材(データ)の持ち味を最大限に活かしきる工夫を忘れません。
本セッションはJapan Tableau User GroupのYoutube「たぶラジ」でも視聴することが出来ます。
聞かせて!!スポンサーさん -あなたの会社の製品・取り組み・技術力- #たぶラジ #99
tA Brewingでは、データ活用を祝う記念品や企業のノベルティとして、30本という小ロットからオリジナルクラフトビールの作成が可能です。データ分析のプロジェクト完了を祝う「最高の乾杯」に最適かもしれませんね。
Tips Battle
Tableau Conferenceでも不動の人気を誇る名物コンテンツ。6名の登壇者が1人2.5分という極限の制限時間内で、実務で使える裏技から驚きのアイデアまでをノンストップで紹介するライトニングトーク・バトルです。
登壇者別:紹介Tipsの要旨
① Sho Suzaki 氏(株式会社NTTデータ)
表現の幅を広げる「鶏のから揚げ」Viz
初心者が楽しみながら、配置や書式設定を学べるユニークなTipsを紹介。
- 地理的情報の応用: 都道府県マップから「経度」を外し「緯度」のみで並べることで、都道府県をリスト形式の配置に。
- ビジュアルの工夫: フィルターで色味を調整し、都道府県の形を「から揚げ」に見立てる。盛り付けは画像パーツを「浮動」で配置。
- 細部のこだわり: ワークシートを右クリックし書式設定でピクセル単位の調整を行う。ロリポップチャート(棒+円)を「から揚げ棒」に見立てることも可能。
② 中西 優介 氏(NTT西日本株式会社)
計算式不要!明日から使えるCreator・Viewer両者向け時短術
- グリッド活用: キーボードの「G」ボタンでグリッドを表示。サイズや色の変更により、浮動オブジェクトの配置精度を向上。
- コピー&ペーストの活用: データをエクスポートせずとも、ワークシートを右クリックしてコピーし、他へ貼り付け可能。
- サイズ調整の自動化: 手動で変えた幅を「クリア:手動サイズ変更」で一括リセット。
- ヘッダー位置の制御: メジャーネームを配置して上部に名前を表示させる際、ワークシート側で自動調整をかけると視認性が向上。
③ Akane Okamoto 氏(株式会社メディアプラットフォームラボ)
日本中の棒グラフを「シュッと」させるデザインの魔法
- 情報の集約:軸の線を消し、ラベルに改行を入れて左寄せにすることで、スッキリとした印象に。
- 背景との調和: 背景色と同じ色の模様(カテゴリ別のラベル等)を配置し、視覚的なノイズを抑えつつ要素を整理。
- 先端のデザイン:棒グラフの先端の形を調整し、洗練されたモダンなグラフへ。
④ Yoshie Mitamura 氏(コニカミノルタジャパン株式会社)
Tableau Prepでのデータ加工・管理Tips
- 除外・削除の管理:ステップが進んでからデータを戻すのは手間がかかる。「入力ステップ」で削除・除外を管理することで、後からの復元を容易にする。
- 柔軟な条件分岐:CASE文に正規表現を組み合わせる、あるいは「CASE TRUE」を用いたロジカルな記述で実務の複雑な条件に対応。
- ソート:Order Byを用いたデータ整理の有効性。
⑤ Etsuro Tabata 氏(CTCテクノロジー株式会社)
サポートエンジニア直伝、Server運用とヘルプ活用の秘訣
- ヘルプサイトのハック:Linux版とWindows版のドキュメント切り替えは、URLの文字列を直接書き換えるのが最速。最新情報は常に英語版を参照。
- サーバー管理:ログは自動で削除されないため、タスクスケジューラで定期実行タスクを組み、ディスク容量を確保。
- 管理ビューの活用: ログイン情報や統計情報を、Desktopから「.twb」として開くことで、Vizqlなどの詳細を独自のダッシュボードで分析可能に。
⑥ おつう 氏(横浜ゴム株式会社)
クロス集計表と操作の効率化
- メジャーバリューの追加:多数のメジャーがある中から絞り込む手間を省くため、ダブルクリックで迅速にシェルフへ追加。
- インライン編集の活用:シェルフ内で「//(コメントアウト)」を使用し、ワークシートを跨いだ別名の管理やメモを行う。
- 凡例の分離:数値の桁数が異なる場合、右クリックから「別々の凡例を使用」を選択し、視認性を最適化。
本セッションは、単なる機能紹介に留まらず、各登壇者が持つ「いかにデータを分かりやすく、かつ楽しく伝えるか」という哲学が垣間見える場となりました。紹介されたTipsは、今日からすぐに業務に取り入れられるものから、Tableauの深い仕様を突いた高度なものまで多岐にわたり、コミュニティの層の厚さを象徴する内容でした。
データの力でつながる社内 -Tableauが広げた活用の輪-
①データの力で部内をつなぐ。Tableau「活用の輪」を広げるための試行錯誤
登壇者:Ikeda(ダイハツ工業株式会社)氏
ダイハツ工業様では、組織変革のフレームワーク「ADKARモデル」を軸に、ツール導入ではなく「課題解決」を起点とした普及活動を展開されています。
変革を成功させる5つのステップ(ADKARモデル)
- A(Awareness):認知
Tableauの機能を語るのではなく、「業務課題が解決できること」を伝える。 - D(Desire):欲求
「使おう」と思わない人に汎用的なサンプルデータは見せない。実際の業務データを使ったデモや体験会を実施し、自分事化させる。 - K(Knowledge):知識
Tableau Cloud環境を整備し、誰でも触れる状態を作る。 - A(Ability):能力
業務に直結する便利なダッシュボードをあらかじめCloud上に用意する。 - R(Reinforcement):定着
「それを使わないと業務が進まない仕組み」を構築し、必然性を作る。
普及に向けた具体的な施策
- 環境の全開放:ライセンスの有無にかかわらず、部員全員にViewライセンスを付与。
- トップダウンの活用:上司の理解を得て、組織全体で活用する流れを作る。
- 心理的ハードルの払拭:「学習コストが高い」という壁を、「使わざるを得ない便利さ」で乗り越える。
② 星野リゾート:DATA Saberと歩む旅路:データ人材ゼロから挑む組織変革
登壇者:木村 いずみ氏・岡田 敦氏・三代 将裕氏
現場スタッフが自ら意思決定を行う組織へと変貌を遂げた、星野リゾート様の変遷です。
変遷とアクション
- 初期の壁:
マーケティング部門へ展開を試みるも、「自分たちの仕事ではない」と抵抗にあう。 - 突破口(DATA Saberの育成):
社内に**DATA Saber**を育成することで、Tableauで何ができるかの認知が拡大。データ活用の相談が自然と集まる文化が醸成された。 - 組織化と自走:
グループディレクターへの直談判により、専任の分析チームを結成。DATA Saberがデータエンジニア領域(データ基盤の運用・保守)まで担うことで、現場の要望に迅速に対応。
到達したゴールと今後
- 高度な意思決定:スタッフ一人一人がデータを用いて判断できる環境を実現。
- エコシステムの形成:組織の垣根を越えたDATA Saber同士のコラボレーションが誕生。
- 継続的なアクション:社内講座を通じて知る機会を絶やさないことが活用の幅を広げる鍵。
自社でもダイハツ工業様・星野リゾート様のようなデータ文化を築きたい方は、弊社の導入支援コンサルティングもご活用ください!
コミュニティ企画
Tableau文化祭2025
今年も多くのTableauユーザーがリアルで集結する「Tableau文化祭2025」が開催されました。LT(ライトニングトーク)や展示、交流スペースなど、見て・話して・つながる熱気あふれるイベントとなりました。
多彩なLTセッション
各ユーザーコミュニティが、独自の切り口でTableauの魅力を発信しました。
- Tableauうまうま会
「うまいご飯とViz作りで広がる仲間の輪!Tableauうまうま会へようこそ」 - Tableau巣鴨会
「はじまりは新大久保で~これまでとこれから~」 - “勝手に”WOWをひろめ隊
「Tab筋の鍛え方〜WOW挑戦のススメ〜」 - Data Noodle
「世界に広がる日本のラーメン文化」 - パパママユーザー会
「子どもと一緒に、学びの時間を〜Tableauパパママわいもく会の挑戦~」 - Tableau Prepユーザー会
「Tableau Prep 2025 活動報告」
弊社メンバーの活躍
今回の文化祭では、多くの弊社メンバーがLTや展示で存在感を発揮しました!
- LT登壇: 「Tableau巣鴨会」では小久保さん・「“勝手に”WOWをひろめ隊」では高木さんがメインスピーカーとして登壇し、会場を盛り上げました。
- コンペ受賞: 製造業ユーザー会様の企画「サンプルスーパーファクトリー」にて、高木さん・崎さん・吉橋さんの3名が見事受賞を果たしました。
コミュニティ活動を通じて、メンバー一人ひとりが楽しみながらスキルを磨き、社外へもその輪を広げていることを実感した一日となりました。
VizSpace
Viz Spaceとは、Tableau作成されたVizをアートとして鑑賞する展示企画です。今年のテーマはJTUG総会のテーマと同じ「つながる、うまれる、ひろがる」。明るく開放的な展示スペースに多種多様な作品が展示されました。
キーウォーカーメンバーからも3作品応募・展示されました。
- 小久保さん「Teams or Slack」
- 君島さん「Japanから世界に広がるTableauネットワーク」
- 戸塚さん「うちの子」
オンラインでゆっくり鑑賞できるバーチャルギャラリーは こちら から。 会場では展示されていない未公開作品もあるので、是非ご覧ください!
JTUG Community Star 2025
本企画は、#DataFam による推薦をもとに、Tableauコミュニティへの貢献を可視化し、新たな繋がりを創出するものです。今年は全6部門で表彰が行われ、コミュニティの多様な成長を祝う場となりました。
【表彰カテゴリ】
- Most Notable Newbie(新しく活躍した新星)
- Best Content Creator(役立つコンテンツを発信した人)
- Most Inspiring Community Leader(コミュニティをリードし、つながりを生み出す人)
- Thanks For Salesforce(Salesforce側からコミュニティを支える縁の下の力持ち)
- Viz Of The Year(優れたビジュアライゼーションを作成した人)
- Best Collaboration Project(2人以上のチームで実施したプロジェクト)
弊社からはBest Content Creatorで高木さん・Most Notable Newbieで小久保さんの2名が受賞!他にも複数のノミネートがあり、弊社メンバーがコミュニティの活性化に大きく貢献していることを改めて実感する機会となりました。
まとめ
今回のJTUG総会2025は、最新のAI技術からデザインの思想、そして泥臭い組織変革のドラマまで、Tableauというツールの枠を超えた「知恵の集大成」のようなイベントでした。
私たちメンバーがこの1日を通じて再認識したのは、「データは対話のためのツールである」ということです。
- 技術と本質:最新AIで効率化を追求する一方で、山辺先生の言葉にある「見ないと、考えられない」という人間の本質を大切にすること。
- 現場の熱量: ダイハツ工業様や星野リゾート様のように、現場の熱い想いを仕組みへと昇華させていくこと。
効率と情熱の両輪が、データ活用には不可欠です。
このレポートが、当日参加できなかった皆さんにとっても、次の一歩を踏み出すヒントになれば幸いです。共により良いデータ文化を築き、活用を加速させていきましょう!