ロピア様が乗り越えた「データの信頼性」の課題と全社的なデータ活用推進
導入事例:株式会社ロピア 様
株式会社ロピア 様は、チルドスイーツの企画・開発・製造を柱に、プライベートブランド(PB)事業など多角的な事業展開を進める「食」の企業です。同社は全社的なデータ活用(DX)推進のため、キーウォーカーとともに、データ分析基盤の構築とデータガバナンスの整備に取り組みました。
導入前の課題であった「データの散在と低品質」を乗り越え、データドリブンな意思決定を実現したロピア様の取り組みについて、DX推進を担う須藤様、武内様にお話を伺いました。(2025年11月12日時点)
Tableau導入で見えた、全社データガバナンスの必要性
ーー導入前、データ活用における課題感はどのようなものでしたか?
須藤様:
弊社では、当初Tableauを導入し、まずデータを可視化することから始めました。しかし、実際にダッシュボードを作ろうとすると、すぐに大きな課題に直面しました。それは、データが各部署のExcelやスプレッドシートにバラバラに散在しており、データの「品質(精度)」が担保されていないことでした。
会議で必要なデータを確認しようとしても、担当者が手作業で集計し直す必要があり、意思決定に必要な情報が揃うまでに平気で1週間、2週間とかかっていました。これでは、データ活用の恩恵を全く受けられません。
データ分析の前に、まず「基盤」と「データそのものの品質」を整備する必要がある、という結論に至りました。
武内様:
特にデータ定義が属人化していたため、ある部署の「商品名」と別の部署の「商品名」が同じ意味を指していない、といった問題が頻繁に起こっていました。このままでは、どんなに優れた分析ツールを使っても、アウトプットの信頼性がなく、誰も安心してデータを使えない状態だったのです。
ーーデータ基盤の構築を決断した理由と、キーウォーカーを選んだ決め手は何ですか?
須藤様:
課題が明確になった時点で、当社の今後の成長には「データ基盤の構築」が最優先だと判断しました。この基盤は、単なるツールの導入ではなく、社内のデータ管理体制、つまり「データガバナンス」そのものを見直す全社プロジェクトだと捉えました。
キーウォーカー様にご相談した際、まず我々のデータ活用の「あるべき姿」を一緒に徹底的に議論してくださった点が決め手でした。データ活用のライフサイクルを熟知されており、「拙速に全部やろうとせず、まずは営業関連データにスコープを絞り、スモールスタートでクイックウィンを目指しましょう」という現実的な方針に賛同しました。
基盤構築とスモールスタート アジャイルな開発
ーー実際の導入プロセスで、どのような点を意識して取り組みましたか?
山本 (キーウォーカー):
技術面では、将来の拡張性、セキュリティ、そしてお客様自身でのメンテナンス性を最優先しました。DWHには高性能なGoogle Cloud (BigQuery)を、ETL/ELT処理にはGoogle Cloud Dataprocなどのサービスを採用し、ロピア様の利用頻度の高いTableauとシームレスに連携するアーキテクチャを設計しました。
特に意識したのは、「運用の引き継ぎ」です。データ基盤は作って終わりではありません。新たなデータソースの追加や、発生したエラーの対応をロピア様自身で行えるよう、開発の初期段階からDX支援室の皆様に解説を行いながら、すべての開発を進めていきました。
武内様:
初期のデータ整理は非常に大変でしたが、キーウォーカーさんから提示された「あるべきデータモデル」を目指して、各部門の担当者と対話しながら、データ定義を統一していきました。
今は、その時に構築いただいた仕組みを活用し、新しいデータソースを取り込む際や、AI活用を見据えた新しいデータモデルを検討する際に、Gemini(GoogleのAIサービス)に壁打ちをしながら自社内で対応を進めています。基盤構築の段階から「自走」できることを意識していただいたおかげで、スムーズに引き継ぎができました。
実現した意思決定の高速化と業務変革
ーーデータ基盤導入後、具体的にどのような効果や変化がありましたか?
須藤様:
最大の効果は、意思決定のスピードが劇的に上がったことです。
以前は手動集計がネックとなり、会議中にデータに関する話が出ても「それは次回までに調べておきます」となることが常でした。しかし今では、BigQueryで統合された信頼性の高いデータを、Tableauのダッシュボードでその場ですぐに確認できます。議論がデータ抽出で止まることがなくなり、会議の場での質疑応答が即座に完了するようになりました。データが信頼できるため、会議の論点も常に前に進むようになりました。
また、DX支援室のメンバーがデータ整備の雑務から解放され、本来の業務である「データ活用の推進」や「社内研修の企画」といった付加価値の高い活動に時間を割けるようになったことも大きな変化です。
全社展開とAI活用に向けて
ーー今後、ロピア様が目指すデータ活用の展望をお聞かせください。
須藤様:
現在は営業関連データが中心ですが、今後は武内をリーダーとして、製造・物流といった基幹業務にもデータ活用を拡大していきます。製造・物流のデータが加わることで、AIを活用したより高精度な需要予測や、サプライチェーン全体の効率化が可能になると考えています。
武内様: データ基盤は着実に育っていますが、社内でデータ活用を日常化させるには、まだ時間がかかります。今後は「Tableauダッシュボードのビューワー向け研修」など、現場のメンバーがデータに親しみ、自ら使いこなせるようになるための「人」への投資を強化し、全社でデータドリブンな文化を定着させていきたいです。
ーーこの度はお時間いただきありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
