脱・主観!Tableau デザインレビュー チェックリスト50

はじめに

「そのダッシュボード、本当に使われていますか?」

キーウォーカーでは、ユーザーが迷わず、迅速に、必要な洞察を得るためのダッシュボード設計を追求しています。本記事では、私たちデザインチームが実践するダッシュボードのチェックポイントを、「ユーザー視点の徹底」と「ビジネス成果に繋がるデザイン」という観点から公開します。

このチェックリストを実施することで得られる効果

キーウォーカーのデザインレビュー基準を導入することで、以下の効果が得られます。

活用率と定着率の向上

「一生懸命見ない」ユーザーでも迷わない導線とデザインが実現することで、ダッシュボードへのアクセス頻度と継続利用率が向上します。

意思決定のスピードと精度の向上

不要なノイズ(罫線、多すぎる色など)が排除され、情報密度が最適化されることで、ユーザーは最短時間で必要な洞察を得られます。これにより、データ誤認に基づく誤った判断リスクを低減します。

デザイン品質の基準確立と属人化解消

チェックリストに基づいたレビューを導入することで、レビューのブレや品質の属人化を防ぎます。結果として、組織全体で高品質なTableauダッシュボードを安定して供給できます。

レビュー開始前に:視点をリセットする

優れたレビューは、「視点をリセットすること」から始まります。あなたは今、作り手の目線でダッシュボードを見ていませんか?

私たちの基本スタンスは「一生懸命見ない」ことです。これは、ユーザーはあなたの意図を汲んでくれないという前提に立ち、初見のユーザーが迷わないかをチェックするためです。弊社のレビューは、この「ユーザー起点」の原則に基づき、以下の3つのフェーズに沿って行われます。

  1. フェーズ1:全体的な構成
  1. フェーズ2:デザイン・視覚表現
  1. フェーズ3:操作性・機能性

このプロセスに従うことで、主観的なレビューでは見つけられない、見づらい・使いにくい・分かりにくいといった「認知の摩擦」を発見することができます。

それでは、具体的なレビュープロセスに入りましょう。

ダッシュボードレビューの視点・流れ整理

0.心構え・スタンスなど

  • 最初は純粋なユーザーとしての視点で見ること。
  • 多くのユーザーは一生懸命ダッシュボードを理解してくれようとはしないため、初見で良く分からないなら、何かデザイン構成上に問題があると捉える。
  • 徐々に技術者/レビュアーとして作成者の「意図」を推測し、改善点を特定・提案する流れを意識する。

1. 全体的な構成のチェックリスト

初見・ユーザーとしての全体感の把握

  1. 1.説明を読まずにダッシュボードを見る。(一生懸命理解しようとしない)
  2. 2.「これはいったい何?」という気持ちで、タイトルから目的を把握する。
  3. 3.パッと見の印象(詰め込み過ぎてないか、散らかっていないか、派手すぎないか、情報量がスカスカ・詰まりすぎてないか)を確認する。
  4. 4.スペースに対する情報量のバランス(スカスカ/詰まりすぎ)を意識し、サイズの調整や情報の取捨選択を提案する。

情報取得の導線と流れの確認

  1. 5.自然な流れ(上から下、左から右など)で視線を流し、スムーズに情報を得られるか。
  2. 6.ブロックごとの区切りや情報の固まり感があり、視線を流しやすく整理されているか。
  3. 7.余計な要素(罫線、不要な軸目盛・凡例など)が含まれていないか、足りない情報がないか。

個別のシート/グラフの確認

  1. 8.各シートのタイトルと内容が合致しているか。
  2. 9.何を可視化したいかの意図が伝わるか、グラフが適切か。
  3. 10.初見で各グラフの見方がわかるか。

全体のデザイン・一貫性の再確認

  1. 11.全体を通して色に一貫性があるか、目がチカチカしないか。
  2. 12.配置のズレがないか。

2. デザイン・視覚表現のチェックポイント

ダッシュボードサイズ

  1. 13.複数ダッシュボードがあれば、すべてのダッシュボードサイズが同じか。
  2. 14.普段使用するPCで見ずらくないサイズか。

タイトル・ラベル

  1. 15.タイトルが何のダッシュボードか明確であり、最初に目に入るか。
  2. 16.各グラフのタイトルと内容が合致しているか。
  3. 17.名称がコード名だけでなく、分かりやすいか。
  4. 18.フォントの種類にバラつきがなく、読みやすい書体とサイズで統一されているか。
  5. 19.フォントの色・太字の強調を多用せず、必要な部分のみが強調されているか。

色使い・視認性

  1. 20.全体の色数を使いすぎていないか。
  2. 21.意味のある、統一的な色の使い方をしているか。
  3. 22.グラフ・文字の情報量は適切か。
  4. 23.コントラスト比など視認性は問題ないか。
  5. 24.高彩度の色を使用する場合、色の持つ意味と実態に齟齬がないか(JIS安全色基準の考慮がされているか)。
  6. 25.色覚異常の見え方を考慮しているか(公開範囲が広い場合)。

アイコンを使用している場合

  1. 26.無意味に多種類のアイコンを使用していないか。
  2. 27.アイコンの持つ意味合いとグラフ・テーブルの意味するところは一致しているか。

配置・整列

  1. 28.配置が乱雑になっていないか、端がズレていないか(ラインが整っているか)。
  2. 29.同じ役割を持つ要素(KPIカードなど)の間隔や配置、見た目が統一されているか。
  3. 30.ワークシート、パディングの設定は適切か、変なズレはないか。
  4. 31.余白が適切に取られているか、外部パディングによる白残りがないか。
  5. 32.タイトルなどがフチに寄りすぎていないか。
  6. 33.文字切れが発生していないか。

グラフの構成要素

  1. 34.凡例の位置は適切か。
  2. 35.二重軸がある場合、原則軸の同期をしているか。
  3. 36.不要な罫線・枠線、軸ラベル、軸目盛、凡例がないか。
  4. 37.散布図など、軸が重要な場合の軸線・軸ラベルの強調は出来ているか。

3. 操作性・機能性のチェックポイント

フィルター・パラメーター

  1. 38.操作エリアが操作エリアとして認識できるか。
  2. 39.フィルターが多すぎないか(フィルターアクションで代用できないか)。
  3. 40.フィルターの位置とグラフ配置の関係が分かりやすいか。
  4. 41.フィルタータイトルが分かりやすいか。
  5. 42.フィルター、ボタン、スクロールなど、操作が直感と相違なく動かせるか、適切な操作形式が選択されているか。
  6. 43.フィルター項目の中にNULLがないか。
  7. 44.フィルターアクションが適切な場所にかかっているか。

インタラクション

  1. 45.ツールヒント内が整理されているか、調整されているか。
  2. 46.ツールヒントの情報が不要(シート上で全て表現されている場合)オフになっているか。
  3. 47.コマンドボタン、カテゴリー別の選択が原則オフになっているか。
  4. 48.ソートコントロールが不要であれば非表示になっているか。
  5. 49.マップなどの場合、ビューのツールバーが不要であれば非表示になっているか。

モバイルレイアウトについて

  1. 50.モバイル環境での利用がある場合、モバイルレイアウトが最適化されているか。モバイル環境での利用が無い場合、モバイルレイアウトが削除されているか。
 

おわりに

ダッシュボードデザインレビューの本質は、ユーザーがダッシュボードを操作・閲覧する際に感じる摩擦(使いにくさ、分かりにくさ)を取り除くことにあります。

しかし、今このチェックリストを読んで「ふむふむ」と理解できたとしても、実際にダッシュボードを作成した「作り手」は、残念ながらその摩擦に自分自身で気づくことができません。作り手はどうしても主観的になり、ユーザー導線の違和感に盲目になってしまうからです。

高品質なダッシュボードを継続的に開発するためには、作り手の主観を超える「客観的な第三者の視点」を取り入れ、レビューを仕組み化することが不可欠です。

 

御社で現在運用されているTableauダッシュボードも、一歩踏み込んだデザインレビューを経ることで、「なんとなく見る」ものから「意思決定に必須なツール」へと進化します。

この記事でご紹介したようなデザインの視点を取り入れたデータドリブン文化構築支援やデザインレビューにご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。単なる技術提供にとどまらず、組織のデータ文化構築と高品質なダッシュボード開発の仕組み化を総合的にご支援いたします。

[キーウォーカーが作成したTableauダッシュボードはこちらからご確認いただけます]  
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