Dataikuで何ができるのか
Dataikuは「データ分析プラットフォーム」ですが、単なる分析ツールではありません。データの収集から加工、分析、そして結果の共有まで、すべてを一つの場所で完結できるデータ業務の統合プラットフォームです。
データ分析だけでなく、業務の効率化、自動化、成果の展開まで実現できるため、「データ分析は難しそう」と感じている方でも、自分の業務改善に活用できます。
本記事では、その中でも特に実務で役立つ3つの機能「シナリオ」「プラグイン」「Webアプリ」を、具体的な活用例とともにご紹介します。
機能① シナリオ
シナリオとは
決まった時間や特定の条件を満たした時に、自動的に処理を実行する機能です。データ処理のスケジューラーとして、時間ベース・条件ベース両方のトリガー設定が可能です。
Dataikuの大きな特長は、データ整形や特殊処理を画面上で直感的に作成できる点です。ExcelのVBAやプログラミング知識がなくても複雑な処理を実装でき、そこにシナリオによる自動実行、完了通知、エラーアラートなどを組み合わせることで、手作業の業務を完全自動化できます。
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| 定期実行 | 指定した時間・曜日に自動実行(毎日朝8時、毎週月曜など) |
| 条件付き実行 | データの状態に応じて処理を分岐(閾値超過時にアラートなど) |
| 通知機能 | 処理完了やエラー発生時にSlack、メールで通知 |
| 依存関係管理 | データAが更新されたら自動的にデータBを更新 |
活用事例:業務データの自動検証
課題
- 毎月1日に手動でファイルをダウンロード
- Excelで一件ずつエラーチェック
- 問題があれば担当者にメール連絡
- 所要時間:約2時間
シナリオを使うと…
- 毎月1日深夜に自動実行
- エラーを自動検出
- 問題があれば自動でSlack通知
- 所要時間:0分(完全自動化)
適用が効果的なケース
- 毎日・毎週・毎月、同じ作業を繰り返している業務
- 夜間や早朝にデータ処理を実行したい場合
- 人的ミスを削減したい定型業務
機能② プラグイン
プラグインとは
Dataikuに新しい機能を追加できる拡張機能です。スマートフォンにアプリを追加するように、必要な機能を後から組み込めます。
プラグインは自分で作成することも可能です。一度作成すれば、同じ処理が必要になった際に、パッケージ化されたプラグインを呼び出すだけで簡単に利用できます。
作り方に関しては過去の記事をご覧ください
Dataiku Pluginの開発
利用方法
既存プラグインの活用
- Google Analytics連携
- Slack通知
- 画像認識処理
- 自然言語処理
- 数百種類のプラグインがコミュニティで公開中
独自プラグインの開発
- 社内システムとの連携
- 企業固有の計算ロジック
- 特殊なデータ変換処理
活用事例:住所の緯度経度変換
導入前の状況
- 住所データを一件ずつGoogleマップで検索
- 緯度経度を手動で入力
- 100件の処理に半日を要する
導入後の効果
- 住所データを選択してプラグイン実行
- 一括で緯度経度を自動取得
- 100件の処理が数分で完了
プラグインのメリット
- 再利用性 – 一度作成すれば何度でも利用可能
- 共有性 – チームメンバー全員が同じ機能を使える
- 操作性 – GUI上でボタン一つで実行可能
適用が効果的なケース
- 同じ処理を繰り返し使用する業務
- チームで作業手順を標準化したい場合
- 外部サービスやAPIと連携したい場合
機能③ Webアプリ
Webアプリとは
Dataikuで処理・分析したデータを、誰でも使えるWebアプリとして公開できる機能です。
例えば、「業種別の給与相場を知りたい」というニーズに対して、従来は担当者に問い合わせて回答を待つ必要がありました。Webアプリを作成すれば、利用者が自分で条件を選択して、すぐに結果を確認できるようになります。
DataikuでWebアプリを構築する際は、いくつかの選択肢が有ります。
- コーディング不要:クリック操作だけで簡単なアプリを作成(Application Designer)
- テンプレート活用:既存のテンプレートをインストールして作成(Visual Webapp)
- フルカスタマイズ:PythonやJavaScriptでコーディングして作成(Code Webapp)
プログラミング経験がない方でも、簡単な検索画面やダッシュボードを作ることができます。一方で、より高度な機能が必要な場合は、コーディングによる完全なカスタマイズも可能です。
つまり、誰でも始められて、必要に応じて高度化できるのがDataikuのWebアプリ機能です。
Webアプリの詳しい作り方はこちら
DataikuでWeb アプリを作る
作成できるアプリケーション
- 検索ツール
膨大なデータから必要な情報を素早く検索
- ダッシュボード
リアルタイムで数値やグラフを表示
- シミュレーター
条件を変更して結果を即座に確認
- 承認システム
データを確認して承認・却下のワークフロー
活用事例:給与ベンチマークデータ検索システム
作成したアプリの機能
- 業種、職種、地域を選択
- 該当する給与相場をグラフ表示
- 検索結果をExcel形式でダウンロード
- S3上の最新データをリアルタイムで参照
導入効果の比較
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| データ確認方法 | データ分析部門に問い合わせ | 自分で検索・確認 |
| 回答までの時間 | 3日程度 | 数秒で即座に表示 |
| 利用制限 | 一部の担当者のみ | 全社員が利用可能 |
| 繰り返し利用 | 毎回問い合わせが必要 | 何度でも自由に検索 |
Webアプリのメリット
データ提供側
- 同じ質問への繰り返し対応が不要
- データ提供のリードタイムが大幅に短縮
- より付加価値の高い業務に時間を使える
データ利用側
- 必要な時に必要なデータをすぐに取得
- 自分のペースで分析・検討できる
- データに基づいた意思決定が迅速化
適用が効果的なケース
- 特定のデータ確認依頼が頻繁にある業務
- 分析結果を社内で広く活用したい場合
- データドリブンな意思決定を推進したい組織
筆者の私も過去に過去の不動産を学習させて、予測モデルよりも安く出た物件をリストアップしダッシュボードにしてWebアプリを作成してみました。ダッシュボードはこんな感じです
ダッシュボードの画面
3つの機能の組み合わせ
実務では、これらの機能を組み合わせることで、より強力なデータワークフローを構築できます。
統合活用例:自動化された市場分析システム
ステップ1:プラグインで競合企業の価格データを自動収集
↓
ステップ2:シナリオで毎晩データを自動分析・更新
↓
ステップ3:Webアプリで誰でも最新の分析結果を確認
結果
朝の出社時には、最新の市場分析データが準備完了している状態を実現
まとめ
本記事では、Dataikuの業務効率化を実現する3つの便利機能をご紹介しました。
3つの機能がもたらす価値
| 機能 | 主な効果 | 適用業務 |
|---|---|---|
| シナリオ | 時間削減・ミス防止 | 定型的な反復作業 |
| プラグイン | 業務効率化・標準化 | 特定処理の再利用 |
| Webアプリ | データの民主化 | データ提供・共有 |
Dataikuの大きな強み
Dataikuは単なるデータ分析ツールではなく、業務効率化と自動化を実現する総合プラットフォームです。最大の特長は、プログラミング経験がなくても活用できる点にあります。
- データ整形や処理を画面上で直感的に作成
- 作成した処理をシナリオで自動化
- プラグインで処理を再利用・標準化
- Webアプリは3つのタイプから選択可能(ノーコード・ローコード・フルコード)
はじめの一歩
まずは、日々の業務で「これ、自動化できないかな?」「毎回同じことを聞かれるな」といった場面を見つけることから始めてみてください。
小さな改善の積み重ねが、組織全体のデータ活用レベルを大きく向上させます。Dataikuを使って、データドリブンな業務改善を実現しましょう!