不動産テック最前線 物件データの”収集・蓄積”で高付加価値を提供する

不動業界の新たな潮流

不動産業界では、ネットを活用した先端ビジネスを行う事業者と、大半のトラディショナルなビジネススタイルを続ける事業者に二極分化された業界として見られがちです。 新聞折込チラシ + 窓広告にFax + 電話ももちろん重要で無くなりはしませんが、既に、Webメディアにメール + SNSなどを使ったサービスへ徐々に移行されていると思います。

そんな不動産業界にも新たなIT革命の波が、急速に押し寄せています。近年の第三次AIブームIoTなどのキーワードに紐付けられる技術を活用した沢山の新しいサービスが、スタートしています。

この分野は、Real Estate Techと呼ばれる新しいキーワードで語られています。業務効率を大幅に改善する、新たな顧客チャネルを開拓する、付加価値の高い情報を提供するなど、ビジネスへのインパクトが大きいサービスを提供できます。

Real Estate Techでは、大量のデータを瞬時に解析し、その結果に基づいた機能を提供するサービスがほとんどです。現在、ネット上には豊富な不動産物件データが存在します。しかしながら、過去実績を元に売買価格の査定を行おうとしても、過去の情報は入手することはできません。

今からでも遅くありません。新しいサービスへの業務シフトを考える時、まず必要なデータを収集蓄積し、新しいビジネスを生み出すチャンスをつかみましょう。以下では、これらのサービス及びデータ収集について説明しています。

不動産業界のIT応用

現在、スマートフォンなどの情報端末が個々人に行き渡り、不動産の賃貸や売買などの流通においては、ネットを使った情報収集が当たり前になりました。これらの技術やサービスの革新は、小規模の不動産仲介業者にも、HOMESやSUUMOなどの大規模メディアを活用することができる機会を提供してくれます。

ITメディアを活用したこのような顧客へのアプローチは既に確立され、大手の不動産情報メディアの活用が、不動産を探す人々の間では一般化しました。 これらの環境変化は、不動産事業を営む企業の顧客開拓や営業スタイルを大きく変えてしまいました。

ネット利用者は、不動産の直接的な情報以外にも、Google Street viewなどで街の雰囲気を観察したり様々な口コミで街の環境や通勤ラッシュの時間帯や街の教育環境など幅広く生の情報を居ながらにして収集したりすることができます。

このように、ネットは情報収集の利便性を高める反面、「引っ越ししようと思っていた場所の治安情報が良くなかったり、思いもよらぬところに、景色の良さそうな場所が見つかったり」と曖昧な情報が溢れ、選択肢が増えすぎることで利用者の判断を難しくしているとも言え、プロにとっては、この状況は正しいサジェッションをすることで、新たな顧客を獲得できるチャンスといえます。

情報過多の時代に、プロとしてどのような対策を考案し、どのようなサービスを提供すべきでしょうか? また、新しい技術やサービスにはどのようなものがあるのでしょうか?

不動産を探す人が情報を参照するイメージ

不動産を探す人が情報を参照するイメージ図

ITをベースにした技術進化は、遅れていると見られてきた不動産流通業界にも急速に押し寄せ、新しいサービスも増えつつあります。 他の分野同様、Real Estate Techとよばれる不動産分野での新しいIT技術を導入したサービスが取り入れられ始めています。

例えば、AI導入による不動産査定AIロボットチャットによる24時間の営業支援など、今まで人の能力に負って対応してきたサービス分野へIT技術が広く取り入れられて来るようになりました。

書籍流通の世界で、Amazon が駅前書店を駆逐したように、中小規模事業者に、新マーケットでの業界変容への不安が浸透しつつあります。現状多くの事業者が、WEBやネットサービスを駆使した広告宣伝やメールマガジンなどによる顧客の囲い込みなど、様々な工夫をされていることでしょう。

しかしながら、既存のサービスを用いたものが殆どで、他社との差別化を図り、技術による参入障壁を築くことは困難だと言えます。

不動産流通においては、その時々の景気、政策、地域の状況(例:企業の進出/鉄道延伸…)などの社会情勢により業績や不動産価値が大きく変化します。例えば投資不動産では、購入時の正確な査定が要求され、将来の投資効果に対する期待値に大きく影響します。

現在価値は表面利回りを頼りに判定するしかなく、実勢にあっているか、将来もその価値が続くのかなどの判断を含め属人的に行われており、人間の勘に頼った評価がなされています。

上記に限らず不動産売買における、その査定はその財産の将来価値に投資する顧客にとって最も重要な指標であり、常に正確な判断をする必要があります。人が実施する査定では、近隣不動産の情報に勘(定量化しにくいファクター)を加味して査定を行っているのが現状ですが、インターネット上の様々な情報を活用することで、AIが査定業務を人の肩代わりすることに現実味を帯びてきています。(実際多くのトライがなされ、上述のようなサービスが始まっています。)

Real Estate Techで用いられる、第3次人工知能ブームで言われるところの、AIとはどのようなものでしょうか。

AIを加速する技術革新

第三次人工知能ブームと呼ばれる現在、今までの人工知能とは一線を画す技術進化を遂げ、急速に進展するその背景には、3つのブレークスルーがあります。

1.ビッグデータ

人工知能が判断を学習するために必要な、お手本となるデータの大量収集が可能となりました。インターネットの普及による情報爆発や通信モジュールの小型化や低コスト可に伴い、IoTの進化などで、今まででは考えられなかった量のデータを収集することが可能です。

これら、従来のコンピュータで扱っていた量の何千何万倍のデータをビッグデータと呼びます。

Wikipedia:ビッグデータ

2.ディープラーニング

画期的な人工知能アルゴリズム「ディープラーニング」の登場により、AI技術に大きなインパクトを与え、多方面の関連技術が一気に向上し、多くの課題が解決されました。GoogleやFacebookなど、世界最大手のIT企業が相次いで人工知能に莫大な投資を行い、大きな注目を集めることで、この分野への社会関心が一気に高まったと言えます。

近年の有名な例では、GoogleのAlphaGo(アルファー碁)が、世界トップ棋士に勝利したり、AutoDrawが落書きをかわいいイラストに描き直してくれたりと、様々な話題を振りまいています。

今まで人間にしかできなった、判断/認知/創作などの能力を、システムが持ちうる可能性を秘めています。

3.クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティングを始めとする、コンピュータの利用環境が大きく変化し、低価格で大量の情報処理を必要なときだけ使えるようになりました。 (クラウドコンピューティングサービスとは、インターネット上の莫大なサーバ資源を安価に時間借りできるレンタルサービス。クラウド事業者は、誰でもスーパーコンピュータを少額のコストで運用できる環境を提供しています。)

AIシステムの構築で最大の課題であった、大量のコンピュータリソースの消費も、クラウドコンピューティングを利用すれば、必要な時に必要な資源を低価格で利用することで解決できるようになりました。 今までは、大量のサーバと巨大な施設を利用者が購入しその環境を維持管理する必要がありました。

現在は、インターネットに繋がったノートPCが1台あれば、誰でも簡単に高性能で大規模なコンピュータリソースを必要なときだけ使えるというブレークスルーは、AI利用の範囲を大きく広げています。

要約すると Big Data ✕ Deep Learning ✕ Cloud Computing がAIの急速なブレークスルーを生み出しています。

AIの本質は、情報を自動的に分類することです。分類するための手法として、生物の脳細胞であるニューロンを模した数学モデルを使い、多くのデータをコンピュータに学習させることで、グループの特徴量を見い出します。その情報を使って対象の情報を瞬時に分類します。 中でも、ディープラーニングは、人間にしかできないとみられていた様々な分野でのAI応用を可能ならしめています。

過去のAI技術との大きな違いは、分析対象物の特徴をAIが自分自身で見つけ出す能力を持ったことです。 つまり、ディープラーニングを用いた現代のAIは、与えられた全てのデータから、自ら認識した特徴をもとにデータを分類することができるようになったのです。 第二次ブームまでのAIでは、情報から着目すべき特徴を指示する作業は人間が手を下す必要がありました。

身近な例で説明すると、次のとおりです。

今までは これから動物園に行く幼児に「大きな体で、ねずみ色をした鼻が長くて、耳が大きい動物が、”象”だよ!」と教えます。幼児は”象”を見た時に教えられた情報をもとに、これが”象”だと判定できます。これがまさに以前のAIです。
現在は 現代のAIは、”象”を見た幼児が「これは何?」と聞けば「これは”象”だよ」と教えるだけで、幼児は自分で見極めた特徴と”象”を紐付けて記憶し、次回から”象”を見るだけで、その動物が”象”であると分類することができるように特徴を自分(AI)自身で捉えることができます。
AIのインパクト 動物園に行く前にすべての動物についての説明をすることに現実味がないのと同様、AIに必要なあらゆる事象の特徴量を全て教えることは、ほぼ不可能です。 このように、自ら特徴を捉え情報を分類できるディープラーニングのインパクトは大変大きく、この技術ブレークスルーがAIへの莫大な資本投下を多くの企業に促す事になりました。

ディープラーニングの研究は画像解析でスタートしましたが、文章/音声など人間の感性で判断するしかないと思われていた分野での応用が活発になっています。

様々な産業に広がるAI応用サービス

スマートフォンの音声応答やECサイトでのおすすめ商品など、気づかないうちに身近なサービスへのAI応用が進んでいます。

  1. OCRの文字認識
  2. 英文和訳
  3. 顔認証
  4. 機器類の運転調整
  5. 病気の診断
  6. 伝票の自動仕分け
  7. 与信業務
  8. 判例調査
  9. 農薬の散布調整
  10. 自動車の自動運転

実現がずっと未来だと思われていた、これらの分野で、急速な発展をしています。

Real Estate Techがもたらす次世代の不動産事業

最新のIT技術を使った不動産流通サービスをReal Estate Techと呼んでいます。AIを始め様々なIT技術を駆使したサービスは、利用者への利便性と事業者への高効率なサービス提供や利益改善をもたらします。今のところ、次世代の不動産流通では、以下のIT技術が注目されています。

VR(バーチャルリアリティ)

ウォークスルー

安価な360度カメラ普及により、天井から床まで簡単に見せられる内見サービスも実現しています。 また、簡単な仕掛けで、立体的なVRの提供も可能となりました。

これらの技術以外にも、多くの企業で実験や新サービスの開発が急ピッチで進んでいます。

近未来の不動産検索のイメージ図

近未来の不動産検索のイメージ図

また、アフターマーケット(販売・賃貸顧客へのサービス)でのIT応用など、数々のサービスも考えられるのではないでしょうか?

アフターマーケット例:IoTを利用したApple Homeなどを使った不動産関連サービスのイメージ図

IoTを利用したApple Homeなどを使った不動産関連サービスのイメージ図

ITがいかに進化しようとも、正しい不動産査定は重要なポイントで、ビジネスに大きなインパクトをもたらすことに変わりはありません。 不動産査定業務は、様々な条件や状況に大きく影響され、属人的な能力で査定されていることが殆どです。

現在好調な不動産流通量も人口の減少と共に将来縮小されると予測されており、効率の良いビジネスモデルが要求されています。 今では、ネットで簡易査定サービスを提供することで、チラシや折り込みなどで行っていた売り手へのアクセスも高効率で行えるようになり、広く知られるようになりました。

特に投資物件の査定では、表面利回りを評価してそれが正しいのかどうか、また、将来の利回りも併せて物件の投資価値も評価する必要があります。過去~現在のデータを調査し、これらの予測を人の勘によって提供しているのが現状で、査定する人による評価のばらつきが大きく、投資判断を難しくしています。

AIの進化はこのような属人的な業務に信頼の高い情報を提供すると期待されています。 大企業でなくても、インターネットで大量に掲示される不動産の売買情報を収集し、AIに学習させることで、これらの査定を支援するサービスを構築できる可能性が高くなりました。

また、売買情報を集めてエリアや物件タイプを時系列に可視化するだけでも、査定判断をより正確にし、お客様により納得感のある情報を提供することが可能です。

可視化についても、BIツールとよばれる高度な可視化が行えるツールが手軽に使えるようになっており、比較検討には非常に使いやすいデータ環境を提供してくれます。 (BIはビジネスインテリジェンスの略)

正しく安定した査定サービスが行えると、資産運用・相続税対策などの不動産投資の判断シミュレーションなどと、さらに高度な応用サービスの提供を可能にし、住宅購入の場合でも、住宅ローン/預金/保険/教育資金/自動車ローンなどを含めた生涯資産設計などのシミュレーションなど、ユーザの購入判断に必要な高度なサービスへとステップアップすることが可能です。

IT の応用は、このように査定以外にも多く付加価値を顧客に提供し、事業者の魅力をアピールできる様々なサービスが考えられます。

Real Estate Techへの導線

高付加価値の利用者サービスを提供するためには、様々なデータを蓄積しプロセスする必要があります。ネット環境に散在する物件情報を収集することで、今まで考えられなかった量の情報扱えるようになりました。

特に、AI応用サービスを提供するには、学習用のデータを例えば1,000万件以上と大量に用意する必要があります。もはや、人手でこのような大量データを収集管理することは、事実上不可能だと言えます。

情報の収集蓄積こそが次世代ビジネスのスタート

物件価格の経年変化を捉えるのであれば、成約後消えてしまう情報を、毎日蓄積することが重要なポイントです。 新しいサービスを始めようと考えている事業者は、まず物件情報の蓄積をスタートすべきです。

このようなWEB上のデータの収集技術は、WEBクローリングと呼ばれ、検索エンジンがWebページを集めるのと同等の技術で情報を自動的に収集します。キーウォーカーは、 キーウォーカークローラ クラウドサービスで、必要な情報を必要なタイミングで収集蓄積し、タイムリーにお届けするサービスを提供しています。

クローラで集めた情報はスクレイピング技術で、必要な項目に整理して蓄積されます。

毎日情報を収集することで、例えばデータがすぐ入れ替わる地域は人気のエリアであることがわかります。 このようなアクティビティも Tableauを使うと、一目瞭然に把握することが可能で、査定を始め様々なビジネス戦略に活用することができます。

中古マンション情報をTableauの地図上にマッピングし、可視化

中古マンション情報をTableauの地図上にマッピングし、可視化

クラウドコンピューティング環境では、様々なタイプのサービスが用意されており、収集した大量のデータを大容量で高速なストレージサービスが支えてくれます。

キーウォーカーが提供するReal Estate Tech

キーウォーカーでは、不動産向けの様々なサービスを提供しています。 将来のサービスに向けに物件情報を簡単にまた自動的に蓄積し、IT技術を駆使した様々なサービスを提供しています。

顧客開拓

不動産関連のサービス実施企業が運営するWebサービスに、分析した地域別のマンション売価情報を時系列に表示することで、Web来訪者へ有益な情報を提供しています。 事業者は、見込み客の必要とする便利な機能を提供することで、企業への信頼を高め、新たな見込み客獲得のための導線を提供し、マーケットの開拓を支援しています。

不動産による相続対策

相続税の相談に対応する、税理士向けサービスを提供しています。 このサービスでは、相続税の対策として、クロールで収集した実際にある運用向け不動産を購入した場合のシミュレーションを提供しています。 投資向け不動産を販売する不動産事業者の新たなマーケット開拓にお役に立てていただいています。

査定の精度向上

商圏内で毎日掲載される物件情報を収集し、査定の情報として、その経年変化をもとに丁目レベルでデータを観察できるサービスです。図面情報など、査定に必要なあらゆる情報を不動産情報サイトに提供される変化を毎日蓄積しています。

蓄積した物件データをもとに、納得感のある正しい査定を行えるので、信頼性の高い取引で顧客満足度を向上しています。 将来は、蓄積情報を活用したAI査定サービスなどへの展開を予定しています。

アフターマーケットへの発展

マンション管理組合サービスから、新たなマーケットを生み出すための営業管理ツールを提供しています。 既存の社内システムから収集した、顧客への販売履歴やコンタクト履歴等を元に、顧客向けのキャンペーンや物品販売及びリフォームの案内など、お客様の特性に合わせたサービスの案内をタイムリーにお届けするための情報を提供しています。 マンションデベロッパーのアフターマーケットを確立するためのお手伝いをしています。

キーウォーカーの不動産ソリューション

キーウォーカーでは、不動産業向けサービスの経験をもとに、常に新しいサービスに取り組み、新マーケットの開発や新しいチャネルの開拓のお手伝いを行っています。 AIを始め、新しいIT技術を貴社のサービスへ応用する道を開くべく、様々な不動産業向けサービスを創出にチャレンジしています。

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