キーウォーカーでは、4月に入社した新卒社員に対して、独自のTableauトレーニングを実施しています。その集大成として5月に行ったのが「ダッシュボード作成ロールプレイ」です。本記事では、そのロールプレイの概要や実際の成果物、新卒メンバーの成長の過程をご紹介します。
こんな方におすすめの内容です: ・実務で通用するTableau研修を探している教育・育成担当の方 ・ダッシュボード設計まで踏み込んだ研修事例を知りたい方 ・自社の新人研修に“実践型”を取り入れたいと考えている方
ロールプレイの目的と概要
このロールプレイは、単なるツールの操作演習ではなく、
- 架空のお客様(虎ノ門製鋼)との打ち合わせ
- 要件整理
- モック作成
- レビューを経てのブラッシュアップ
- 最終的なダッシュボードの完成
までをPM役である先輩社員とともに実践する、リアルなプロジェクト形式の研修です。

現場に出てすぐ、お客様とやり取りしながらダッシュボードを作るために
- Tableauダッシュボード作成案件の大まかな流れをつかむ
- 目的に合ったダッシュボード作成の経験を積む
- 自主的に考えてプロジェクトを進めることの大切さをつかむ
など、単なるツールの知識だけではなく、お客様の課題を整理し、形にする力を身につけてもらう狙いがあります。
ロールプレイに仕掛けられたトラップ
実は今回のロールプレイ、ただダッシュボードを作るだけの演習ではありません。
自主的にプロジェクトを進めてもらうにあたり、あえていくつもの「トラップ」を仕込んでいました。
- 複数データを結合するキーが存在しない
- 使わないカラムが大量に含まれている
- 年度の開始が8月という特殊仕様が説明されていない
- 初期要件をそのまま作っても、お客様の本当にやりたいことは実現できない
こうした仕掛けを通して、顧客やPM役との対話の中で「本当にやりたいこと」を引き出し、自分で課題を整理しながら解決する力を養うことが狙いです。新卒メンバーたちは最初こそ戸惑いながらも、先輩や顧客役と議論を重ね、一つひとつ乗り越えていきました。
実際に作成したダッシュボード
新卒メンバーが作成したダッシュボードのポイントや感想を紹介します。 Tableau Public上でダッシュボードを触れるようになっているので、ぜひ飛んでみてください!

目標と成果の比較しやすさにこだわり
作成者からのコメント
本DsBは、ユースケースを基に「各種経営指標を一目で見やすくする」「営業活動を選んでしっかり情報分析できるようにする」ことを主に意識して作成しました。
こだわった点として、まず目標値をリファレンスラインで描画し、他項目との比較と目標値同士の比較がそれぞれ視覚的にわかりやすくできるようにしました。また使用する色はなるべく、色覚異常の方にも判別しやすいものにしています。営業活動に関する様々な情報をしっかり分析できるよう、案件を選択したら画面を大きく切り替えて専用の画面を表示できるようにしたのも工夫点です。
お客様役とやり取りしながら、「何を求められているか」を読み取りながら設計・開発するのは難しくもやりがいを感じました。またこの前にトレーニングでTableauの使い方をしっかり教わったおかげで設計した内容をしっかり実現でき、自信につながりました。

進行中の案件の可視化を意識
作成者からのコメント
営業の進捗把握と目標達成に向けた指標決定をすることがユースケースであったため、どのようなグラフでも実績と目標が一目で把握できるようにする、受注案件のみならず各確度で進行中の案件も同時に可視化し次指標決定の材料になることを考慮し作成しました。
こだわった部分は、各グラフに表示させる情報量が多かったため、黒ベースの背景に寒色の同系統色のみで作成することで、ハレーションを起こさずにデザイン的に見にくくならないようにすることをこだわりました。難しかったポイントとしては、販売実績がない商品でも目標金額は設定されており、可視化させる際その商品分の目標金額が合計されないことが多々あったのでその金額もちゃんと加算されるようにすることが難しかったです。
データ成型からトレーニングをしていただいたおかげで作業につまずいても原因がすぐ解明できたので非常に助かりました。

顧客の声を超える提案を意識
作成者からのコメント
実際のお客様のデータを見たときの疑問点をなるべく細かい粒度で聞くことを意識しつつ、こちらからも提案しながらお客様の要望に応えること、それを超えることを意識しました。
こだわったポイントとしては視覚的な情報がフィルターなどを用いて一目でわかるように色の変化を付けるようにしたことと、数字などの表記などをなるべくどのグラフを表しているのかをわかるようにしたことです。
難しかったことはデータ整形の際にデータの動かし方のイメージがついておらず、上手くいかなかったことです。先輩方に色々と教えていただきながら進められたことでより深い知識を身に着けることができる機会になりました。
ロールプレイでは自身の知識の不足を把握しながら、自分の理解度を高めるために色々と調べたりすることでトレーニング以外では触らなかった知識も身に着けることができました。

BIに不慣れなユーザーでも使えるシンプル設計
作成者からのコメント
「営業進捗の把握と、目標達成に向けたネクストアクションにつなげる」ダッシュボードというユースケースだったため、まずは全体感を把握できる構成とし、徐々に詳細が確認できるよう工夫しました。また、Tableauの操作者がいないとのことだったため、BIツールの知識が乏しくても扱えるよう意識して設計しました。
こだわったポイントとしては、円グラフや棒グラフなどをシンプルにまとめ、Tableau初心者でも使いこなせるような構成にした点です。フィルターも3つに絞りつつ、確度別の目標達成率など、必要なデータがしっかり確認できるよう工夫しました。
ロールプレイで難しかった点は、ダッシュボード作成を見越してデータ整形を行う必要があったことです。データの理解と整形に苦労しました。
基本的なTableau操作についてはトレーニングで網羅できていたため、少しこだわった実装についても、資料を読みながら対応することができました。

日常利用を想定した実用性とデザイン性
作成者からのコメント
お客様が日常的に使用する前提で、売上進捗と顧客・商品の状況を一目で把握できるよう設計しました。特に、潜在的な機会損失を早期発見し、アクションに繋げられることを重視しています。
最も力を入れたのは 視覚的な情報伝達の最適化です。目の疲れを軽減するため、操作要素とタイトルには高いコントラスト比を設定し、長時間の使用でも快適に閲覧できるよう配慮しました。達成度表示では、あえて円グラフではなくメーターを採用しました。未達成時こそ注目すべきという考えから、進捗の「伸びしろ」を強調できるデザインにしています。
色彩設計では、青(達成状況)、黄色(潜在価値)、緑(確定売上)と意味を明確に分け、直感的な理解を促進。目標と実績の重ね合わせ表示により、ギャップの可視化を実現しました。
右下のTOP3顧客とLOW3商品の配置バランスに関しては、顧客の可能性向上と商品欠損の早期防止という異なる目的を、違和感なく統合することを目的にしています。
現代的で洗練された印象を意識したレイアウトで、実用性とデザイン性を両立させています。

会議での判断に役立つ予実比較
作成者からのコメント
目標金額と実績を把握すること、それらをもとにアクションを決定することを目的としてダッシュボードの作成を行いました。
こだわったポイントとしては、月別の予実比較と地域別の予実比較にて、配色やグラフ構成を近づけることにより、グラフの切り替わりに伴う不要な情報のインプットを減らした点と、受注状況別に集計表を作成することにより、会議の適切なタイミングで必要な情報が視覚的に表示されるように設計した点です。
また、ロープレの中では、PM役とのコミュニケーションの頻度や、定例外でのお客様役との相談の頻度に悩むことがあり、よい距離感を作ることが大切だと感じました。

粒度と視線の流れを意識
作成者からのコメント
今回は営業活動に活用するダッシュボードとの設定でした。そのため基本的には大きな粒度から徐々に深堀りしていく、という活用を想定しています。顧客役へのヒアリング等も実際にロールプレイをさせて頂き、詳細に要件を詰めていくことの重要性を実感しました。
こだわったポイントはアクションフィルターを活用し、左の地方別などの大きな粒度から右に粒度を細かくしていくことです。視線の動きを考慮したダッシュボード作りを意識していました。
データ整形の際も実績データと目標データをどのような形で持つかを悩んでいましたが、トレーニングで学んだことを活用し解決することができました。
ロールプレイを通じて
今回のロールプレイを通じて、新卒メンバーは単なる操作スキルではなく、「データで何を解決するか」「誰にどんな気づきを与えるか」という本質的な問いに向き合いながらアウトプットを仕上げました。
- お客様へのヒアリングから課題を引き出し
- ダッシュボードのプロトタイプを何度も見せながらニーズをすり合わせ
- データ整形や複雑な計算を自力で解決し
- 時には先輩社員を頼り、質問しながら
- 見た目のデザインや配色にまで徹底的にこだわり抜く
というプロセスを実践し、我々キーウォーカーが日常のプロジェクトで大切にしている流れをしっかりと体現してくれました。これからお客様の現場に出て、実際の課題解決を担う存在として活躍してくれるのが楽しみです。
キーウォーカーのTableauトレーニング
お客様のレベルや目的に応じて、基礎的な操作からダッシュボードの作成方法、あるいはデータの変換や整形などの技術を習得していただくトレーニングサービスを提供しております。
単なる「機能の解説」や「使い方の習得」にとどまらず、演習や質問サポートをふんだんに取り入れた「実務で使えるTableauスキル」を身に着けていただけるカリキュラムになっております。
- Tableauの基本的な使用方法を学ぶ「入門編」
- 基本的なダッシュボードを作成できるようになる「実践1」
- ダッシュボード作成の幅を広げる「実践2」
- データ分析に必要なデータの変換と整形手法を習得する「Prep」
本トレーニングは、実際に今回のダッシュボードを作成した新卒社員も受講しており、実務で使えるダッシュボードを作成する力の土台を築けます。ご興味のある方はぜひ以下の問い合わせフォームよりお問い合わせください。