新卒がたった2週間で実務レベルのダッシュボードを構築!Tableau研修レポート

新卒がTableauで構築したダッシュボードのイメージ

「本当に自社のメンバーだけで、実用的なダッシュボードを作れるようになるのだろうか?」スピード感が求められる日々の業務において、データドリブンな意思決定環境の構築は急務です。しかし、専門のBIエンジニアを採用・育成するには大きなコストがかかります。

この問題を考えるヒントになれば、というわけで本記事では弊社の2026年度新卒メンバーが挑んだ「2週間のTableauダッシュボード構築研修」をレポートします。完全未経験の新卒メンバーが、たった2週間でどれほどのクオリティのものを完成させたのか、その過程と成果をご覧ください。

このようなお困りごとを抱えている方はぜひご覧ください。

  1. Tableauの導入を検討しているが、学習コストや社内への定着に不安がある方
  2. 自社の非エンジニアや若手メンバーを「データ活用人材」として育成したい方
  3. 社内にデータは溜まっているが、可視化して経営判断に活かせていない経営層・マネージャー陣

1. 今回Tableau研修に挑戦したのは、こんな新卒メンバーたち

弊社で行っているロープレ形式のTableau研修は、新卒メンバーが実案件に近い状況で、ダッシュボード作成だけでなく報連相・顧客対応・納期意識まで体験・体得してもらう、実践型プログラムになっています。

特筆すべきは、今回参加した新卒メンバーのバックグラウンドです。実は参加者8名中3名が文系出身かつTableauは全員が完全初体験でのスタートでした。

そんな彼らにダッシュボード構築を通じて感じた壁を聞いてみると、次のような声が挙がりました。

  1. 「Tableauの操作が難しい」
  2. 「デザインの見やすさに悩んだ」
  3. 「生データの扱いに困惑した」
  4. 「要件通りに作ったのに使いにくいと言われた」

いずれも、Tableauの操作スキル以前の「実務ならではのリアルな壁」です。では「全くのゼロベース」の彼らが、どのようにして要件を紐解き、形にしていったのでしょうか。

2. Tableau研修の全体像:カリキュラムと“擬似プロジェクト”の設計

研修のお題

今回の新卒研修(Tableauロープレ)のお題は、架空企業「株式会社虎ノ門製鋼」の営業部向けに、 営業進捗を把握し、目標達成のための“次のアクション”につなげられるダッシュボード を構築することです。

  1. 意思決定の起点:まずは全体の達成状況を一目で把握できる
  2. 深掘り:未達の製品群・地域(必要に応じてセグメント)を特定できる
  3. 打ち手に接続:未達領域に対して「案件がある/ない」で次アクションを変えられる
    1. 案件(商談)がある:確度を上げる動き(フォロー、提案、クロージング)
    2. 案件(商談)がない:新規商談を作る動き(開拓、アプローチ)

研修以上、案件未満の緊張感

2週間に及ぶプログラムの最大の特徴は、先輩社員が「PM役」と「お客様役」を演じ、リアルな案件の緊張感を再現する点にあります。新卒メンバーはただ課題をこなすのではなく、“相手のいるプロジェクト”の中で成果物を磨いていきます。

  1. PM役
    1. 単に答えを渡すのではなく「現場ではどう見せる?」と問い返し、手が止まったら相談を促し、納期に向けた優先順位づけをサポートします。
  2. お客様役
    1. 「虎ノ門製鋼」の社員を熱演。「この数字を見たら、何をすればいい?」と、アクションにつながるダッシュボードかどうかを厳しく問います。

この体制により、新卒メンバーは技術だけでなく「お客様の意思決定を支援する」という視点を、身をもって学んでいきました。

2週間の流れ

Tableau研修2週間のスケジュールを示した図
  1. データ確認:データの不備・仕様の不明点を洗い出し
  2. 試作品構築:整形済みデータで試作品を構築
  3. 試作品提示・レビューMTG:要望の追加・変更が入ることも
  4. フィードバック反映・修正:フィードバックを対応可否・工数の両面で確認
  5. 最終納品
  6. フィードバック・振り返り:評価シートに沿って先輩からフィードバック

3. Tableauの要件定義に潜む「罠」

現場で直面した「生データの罠」と要件定義の落とし穴

2週間の研修で新卒メンバーを最初に待ち受けていたのは、ツールの操作方法ではなく「データとの向き合い方」に関する困難でした。ダッシュボード自体を作る以前に、現場データ(のレプリカ)ならではの洗礼を受けたのです。

  1. 不要なデータの山:親切心で渡された600商談×50項目に及ぶ巨大な表。しかし、実はそのすべてを可視化する必要はないかもしれません。お客様役の利用目的から逆算して「本当に必要なデータだけを絞り込む」思考の重要性を学びました。実際、かなりの項目(列)がダッシュボード作成には不要なものでした。
  2. 不要な列が多く含まれた商談データの一覧イメージ
  3. 隠れたビジネスルール:システムのデフォルト設定(1月始まり)と、実際の期初(8月)のズレ。「当たり前」だからこそデータには書かれていない、現場の共通認識をヒアリングで引き出す必要があるのです。
  4. システムの期初設定と実際の期初のズレを示した図

4. 完成したTableauダッシュボードと先輩からのフィードバック

こうした問題を乗り越え、Tableauにも悪戦苦闘しながらも、新卒メンバーは実務レベルのダッシュボードを完成させました。ここからは、参加者の中から3名を取り上げ、試作品から最終納品物に至るまでの試行錯誤と、プロの先輩から受けたフィードバックを、本人の言葉とともに振り返っていきます。

それぞれの試行錯誤を、試作品段階試作品作成後の磨き込み最終納品物という3つのフェーズに分けて掘り下げていきます。まずはAさんに、当時の工夫と壁を振り返ってもらいました。

Aさんの場合:課題から逆算した指標の可視化

フェーズ1|試作品段階:「何を見せるか」を問い続けた日々

参加者Aが作成した試作品ダッシュボードの画面

工夫した点

  1. 「何を見せるか」を起点に、お客様の課題がどのような量として現れるのかを理解すること(売上・利益率・予実差など)から出発した
  2. 売上の分析だけでなく、そもそもの目標達成率も分析したいという要望を受け、予実差を対象とした可視化を盛り込み、目標設定の妥当性も分析可能にした

ぶち当たった壁

  1. 「何を見せるか・どう見せるか」の両面で苦労した
  2. お客様のビジネス文脈を理解しながら、限られた画面の中で情報の優先順位を決める作業は、想像以上に難しかった
  3. デザインに関しては完全に迷走していた

フェーズ2|試作品作成後:視線誘導という“純粋なデザイン”との格闘

工夫した点

  1. グラフの位置関係などで視線を誘導することを意識し、ユーザーが自然に情報を辿れるレイアウトを追求した
  2. 棒グラフ・散布図・マトリクスなど、複数のグラフを目的に応じて使い分ける判断を繰り返した

ぶち当たった壁

  1. 視線誘導はほとんど純粋なデザインの問題で、全く初体験だったため新鮮ながらとても苦戦した
  2. 「どう見せるか」に正解がないため、試行錯誤の繰り返しに多くの時間を要した

フェーズ3|最終納品物:プロのフィードバックを経て「一目で分かる」へ

▼以下の画像をクリックで実際のダッシュボードをチェック! 参加者Aの最終納品ダッシュボードの全体画面 参加者Aの最終納品ダッシュボードの詳細表示画面

どのように完成に至ったか

  1. 先輩社員(PM役)による本格的なフィードバックを経て、「まず全体の数字を見て、気になる部分を掘り下げる」という自然な視線の流れが高く評価された
  2. 最終的には、どこを見ればよいのかが一目で分かりやすいものに仕上がった

社内デザインチームからの主なフィードバック

  1. まず全体の数字を見て、気になる部分を掘り下げるという自然な流れで画面が設計されており、直感的に使いやすい
  2. 色の濃淡が見やすく、全体的にスッキリした印象
  3. 目標と実績のズレを一覧で比較できる表が分かりやすい
  4. リストで案件を選ぶと詳細が隣に表示される仕組みが実用的で、営業担当者がそのまま業務で使える作りになっている
  5. 棒グラフ・散布図・マトリクスなど複数のグラフを上手く使い分けており、好印象

このように、フェーズごとの試行錯誤とプロのフィードバックとの往復を経て形になったのが、上記のダッシュボードです。本人が意識していた「お客様の課題から逆算した指標の可視化」「視線を誘導するレイアウト設計」は、実際に社内デザインチームからも高く評価されました。

Bさんの場合:使う側を起点にした情報設計と配置の微調整

続いてBさんにも、同じく3つのフェーズで当時の工夫と壁を振り返ってもらいました。

フェーズ1|試作品段階:「どのグラフを選ぶか」で悩んだ日々

参加者Bが作成した試作品ダッシュボードの画面

工夫した点

  1. ダッシュボードをお客様が実際に業務で利活用する場面を想定し、どのグラフを選べばお客様のネクストアクションにつながるかを常に念頭に置いて可視化方法を選定した
  2. ダッシュボードを目で追う際の順番を考慮し、どこから情報を掘り下げていくかという視点を持って作成に臨んだ

ぶち当たった壁

  1. 可視化の見せ方には多くの選択肢があるため、試作品時に複数の候補を用意し、お客様が最も業務で使いやすい形を選べる流れを作ることに時間を要した
  2. 実際のレビューでは、自分がベストだと思っていたデザインとお客様が選んだデザインが異なり、案出しをすることの重要性を痛感した

フェーズ2|試作品作成後:ピクセル単位で磨き込む

工夫した点

  1. 試作品に対する細かなフィードバックを、対応可否と実装工数の両面でPM役と綿密に相談しながら日々こなしていったことが、ダッシュボードデザインの洗練につながった

ぶち当たった壁

  1. 実業務での利活用を前提とした納品物に仕上げる必要があったため、凡例の置き方、アイコンのサイズ感や配置場所などをピクセル単位で調整する作業が必要だった
  2. ダッシュボード全体のレイアウトを整える上でコンテナの配置が重要で、そのレイアウト機能の調整には特に苦戦した

フェーズ3|最終納品物:ガイドラインとツールヒントで密度を制御

▼以下の画像をクリックで実際のダッシュボードをチェック! 参加者Bの最終納品ダッシュボードの画面

どのように完成に至ったか

  1. 社内に蓄積されたダッシュボードデザインのガイドラインを軸に、全体の配置・配色・フォントサイズなどを定量的・定性的に評価しやすくなり、洗練されたデザインへと収束させることができた
  2. 今回指定されたダッシュボードサイズが小さかったため、カラム名や集計表の項目テキストのサイズ調整が必須。必要な情報を漏らさず、全体のレイアウトを崩さない微調整は一見簡単そうに見えて、かなりの試行錯誤が必要な作業だった
  3. 各グラフには、項目にカーソルを合わせると明細や時系列推移が現れるツールヒントを実装。限られたスペースでの情報量をどのように制御するかを検討し、最終的な実装に落とし込んだ

社内デザインチームからの主なフィードバック

  1. アイコンを使うことで直感的に読み取れて、使いやすそうな印象
  2. 全体的に情報が過不足なくまとまっており、視線の流れも自然
  3. 基本の青と他の色の面積バランスが良く、まとまりのある見た目
  4. 使う色を4〜5色に抑えており、目が疲れにくい
  5. 集計表を保存するボタンや補足の一言など、使う側への配慮が丁寧

このように、フェーズごとの試行錯誤と社内ガイドラインとの往復を経て形になったのが、上記のダッシュボードです。Bさん自身が意識していた「情報配置」「配色・トーン」「使う側への細やかな配慮」は、実際に社内デザインチームからも同じ観点で高く評価されました。

Cさんの場合:確度別の達成度可視化とネクストアクション設計

最後にCさんにも、同じく試作品段階、試作品作成後の磨き込み、最終納品物の3フェーズで、当時の工夫と壁を振り返ってもらいました。

フェーズ1|試作品段階:確度別達成度で「目標まで何件か」を可視化した日々

参加者Cが作成した確度別達成度を示す試作品ダッシュボードの画面

工夫した点

  1. 売上達成率・受注率・目標金額と実績金額のグラフに確度ごとの達成度を表示させることで、どの確度までクリアすれば目標を達成できるのかを視覚的に把握できるようにした

ぶち当たった壁

  1. 確度ごとに表示させる方法で、技術面と表現面の両方に壁があった。「グラフで見せるのか、テキストで見せるのか」「ユーザーにとって最も分かりやすい見せ方は何か」「パラメーターをどう指定すれば確度ごとに切り替えられるのか」など、悩みどころが多かった

フェーズ2|試作品作成後:ネクストアクションにつながる情報設計へ

工夫した点

  1. 営業担当者が確認するダッシュボードというテーマを軸に、お客様のネクストアクションにつながる情報設計を心がけた
  2. 全体の売上達成度だけでなく受注率グラフを追加し、「あと何件クリアすれば目標達成か」を視覚的に把握できるようにした
  3. 活動一覧では現場の動きを確認できるようにし、高額案件で「お見積り提出済み」のまま停滞しているものをチェックして優先フォローできる意思決定を支援した

ぶち当たった壁

  1. フィルターの幅が広くなっていたため、幅を狭めてタイトルのフォントを大きくする調整が必要だった
  2. 目標金額と実績金額のグラフの彩度が高めで、より落ち着いたトーンへの調整が課題だった

フェーズ3|最終納品物:寒色系×丁寧なレイアウトで落ち着きのある仕上がりへ

▼以下の画像をクリックで実際のダッシュボードをチェック! 参加者Cの寒色系でまとめた最終納品ダッシュボードの画面

どのように完成に至ったか

  1. 色使いについては、お客様から赤や橙などの刺激的な色は避けたいという要望があったため、落ち着きのある青などの寒色系をベースにした。背景色を灰色にすることで、グラフが際立つようにデザインを工夫した
  2. 配色については、グラフの性質や位置によって全体のバランスが変化するため、グラフに応じた配色と全体の調和を整えるのに苦労した

社内デザインチームからの主なフィードバック(良かった点)

  1. 角を丸くした余白の取り方が上手で、全体が柔らかく上品な印象
  2. 文字が大きめで、目を凝らさなくてもしっかり読める
  3. 色合いとブロックごとの配置ルールが揃っていて、パッと見て綺麗
  4. 確度ごとの受注率がグラフと数字の両方で示され、情報が補われている
  5. 絞り込み条件で分類と部署を切り替えられ、コンパクトにまとまっている
  6. 活動一覧に他で使っていない紫を用いており、別のグラフだと一目でわかる
  7. 表の行ごとに色を交互にしてあり見やすい

このように、フェーズごとの試行錯誤とプロのフィードバックとの往復を経て形になったのが、上記のダッシュボードです。Cさん自身が意識していた「確度別の達成度可視化」「必要な情報をコンパクトにまとめること」「統一された配色・レイアウト」は、実際に社内デザインチームからも同じ観点で高く評価されました。

5. おわりに:BIツール導入を成功させる「データ人材」の育成

今回の新卒研修が本当に目指したのは、単にダッシュボードを「構築できるようになること」ではありません。詰まっても止まらずに報連相を回し、限られた納期の中で案件を自分の手で前に進めきる、そんな現場投入レベルの自走力を養うことこそが狙いでした。そして、その過程で経験ゼロの新卒メンバーが実務レベルのダッシュボードを形にするという成果も、十二分についてきました。

「BIツールの導入はハードルが高い」「専門のデータ人材がいない」という悩みを抱える方は多いかと思います。しかし、ご覧の通り、適切なステップと実践的なカリキュラムがあれば、経験ゼロの若手社員であっても、たった2週間でここまでのダッシュボードを構築することは十分に可能です。

重要なのは、ツールの機能学習だけでなく「ビジネス課題をどうデータで解決するか」という思考プロセスを同時に学ぶことなのです。

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