生成AIの技術革新によって業務での活用場面が飛躍的に増えてきています。生成AIを活用したAIエージェントが普及し始めていますが、業務においては正確な情報を検索・抽出することが重要になります。
業務の情報が分散していると集約して活用するのが難しいですが、こういった非効率な状態を解決してくれるのが、Gemini Enterpriseの機能です。精度の高い情報検索と推論能力により、社内データの正確な抽出が可能になります。
今回はGemini Enterprise を使ってみたメリットについて解説します。
1.はじめに:社内情報を探すのに手間がかかっていませんか?
みなさんはこんな場面に遭遇したことはないでしょうか。
- 以前使った資料を探したいけど、どこにあるかわからない…
- 社内規則や制度の情報を得たいけど、どこにあるかわからず誰に聞けばよいかわからない…

日々の業務ではTeamsやNotion、メールなど必要な情報が様々なツールに分散してしまいます。こうなると、「過去の案件の情報どこだっけ?」や「打合せ前に情報整理しておきたい」、「どこを見ればわかる?」みたいな状況に陥りがちだと思います。
こういった課題を解決してくれるのがGemini Enterprise です。
2.Gemini Enterpriseとは?
Gemini Enterpriseとは、組織内のデータと連携してAIがタスクを実行するGoogle CloudのAIプラットフォームです。従来の対話応答型の生成AIと異なり、組織内のデータをナレッジとしたAIエージェントの構築が可能です。
AIエージェントは個々にカスタムが可能になっていますので、自分の業務や部署の業務に応じて個別のエージェントを作成して自動化・効率化させることができます。
既存のGeminiとの違いは、利用するデータの範囲と業務全体をアシストするという点にあります。
既存のGeminiはGmailやスプレッドシートなどのアプリで作業を効率化し、チャットベースで文章・画像生成を行います。一方でGemini Enterprise は、社内外の様々なツールと連携して業務の自動化やエージェント構築ができるようになっています。
Google Workspaceに限らず社内のデータと連携する生成AI基盤がGemini Enterpriseの特徴です。
GeminiとGemini Enterprise の主な違い
| Gemini | Gemini Enterprise | |
| 役割 | AIアシスタント(個人の作業効率向上) | AIエージェント(組織内データを活用した業務支援・エージェントの活用) |
| 対象範囲 | Google Workspaceのアプリ | Google Workspaceおよびその他様々なツール |
| 主な機能 | ・文章生成、画像生成 ・メール作成 ・ミーティングの文字起こし、要約 | ・社内データの検索 ・AIエージェントの構築 ・エージェント実行の自動化 |
3.豊富なコネクタで社内情報を検索可能に
Google製品の他にサードパーティのツール(Teams、SharePoint、Boxなど)と接続することが可能で、様々なツールの社内データを活用することができます。(それぞれのツールとの連携設定は管理者の承認が必要です)
社内に散らばっているデータを一元的に参照して検索できる点は非常に便利です。

主なコネクタ一覧
4.実際に使ってみた
4-1.社内情報への問合せ
というわけで早速使ってみました。UIはとてもシンプルで、通常のGeminiとほとんど同じ感じで使えます。

Gemini EnterpriseのUI
使用例としては以下のような感じです。
- Slackチャンネルの経緯から次回打合せのポイント要約して
- 今月の全社向けお知らせの一覧をまとめて
- 案件の内容を社内事例共有会向けにまとめて
- これまでのブログの公開記事からブログのネタを考えてみて
こんな指示を与えるだけでGoogle WorkspaceやSlackチャンネルから結果を出力して役に立つ情報をまとめてくれます。
使ってみて感じたメリット
使ってみた率直な感想としては、知りたい情報にすぐにアクセスして要点をまとめてくれるのでかなり便利な印象です。特にエージェントデザイナーでは、指示内容や知識を埋め込んであげると回答の精度が格段に向上します。
Slackチャンネルからの情報集約や次のミーティングに向けたポイント整理、資料準備のたたき台作成にも活用できそうです。これらのタスクを任せることで業務効率向上に役立てられると感じました。
ただし回答生成には多少時間がかかる印象で、待ち時間の発生が利便性にも影響しそうです。今後のアップデートに期待したいと思います。
4-2.ノーコードでAIエージェントを作成
Gemini Enterpriseはエージェント作成機能で自然言語で簡単にエージェントを作成することができます。
手順はとても簡単で、エージェントにやってほしいことを指示するだけです。ビジネスユーザーでも手軽にエージェント作成できるのが強みです。
お試しで新しい社員向けの社内ルール紹介エージェントを作ってみます。

自然言語でエージェントを作成
プロンプトを入力して実行するとさっそくエージェントが作成されて、プレビューが表示されました。質問のサジェストにあるリモートワークの規定について確認してみましょう。

エージェントのプレビュー画面
弊社のリモートワーク規定と基本ルールについて回答してくれました。詳しい内容を知るためには追加の質問をする必要がありますが、概ね正確に回答してくれています。

エージェントの回答(一部マスキング済み)
エージェントはエージェントデザイナー機能で手動でも作成することが可能です。各エージェントの役割や指示を明確に与えることで、より精度の高いエージェントをカスタマイズして作成することができます。

エージェントデザイナー画面
4-3.導入時の注意点
非常に便利なGemini Enterpriseですが、導入にはいくつか注意することがあります。
各ツールとの連携には管理者の承認が必要
Gemini EnterpriseはデフォルトでGoogleドライブ、スケジュール、Gmailと接続されていますが、その他のツールの連携には管理者の承認が必要になります。導入においては、どのツールのデータにアクセスさせるか権限設計が重要になります。
社内データの利用ルールの確認
Gemini Enterpriseはドライブ内容のデータを扱うため、共有フォルダ内のデータはアクセスできるようになります。共有範囲の確認や、必要以上に権限が付与されていないかなど、社内データの状況を事前に確認することが必要です。
ライセンス費用
ライセンスの費用ですが、BusinessエディションとStandard/Plusエディションで異なっており、Businessエディションは1ユーザー当たり月額21ドル、Standard/Plusエディションは1ユーザー当たり月額30ドルとなっています。詳細は公式ページをご覧ください。
5.まとめ:社内情報活用を加速させるAIエージェント
Gemini Enterpriseは単なる生成AIチャットボットではなく、社内に蓄積された情報を活用して業務を支援するAIエージェントプラットフォームです。
社内情報の検索や収集に時間がかかっている方、業務に合わせたAIエージェントを作ってみたい方にとって、ぜひ試して頂きたいサービスだと感じました。エンジニアでなくとも、手軽にAIエージェントを作成できる点が非常に便利です。
キーウォーカーでは、AIエージェント開発などを通じてお客様のデータ活用をご支援しております。社内に蓄積されたデータを活用して業務効率化したい、生成AIで業務を自動化したいといったご要望がございましたら、キーウォーカーまでご相談ください。
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