はじめに:新卒向けDifyトレーニング研修の概要
キーウォーカーでは、4月に入社した新卒社員を対象に、実務で活かせる技術の習得を目指した研修を実施しています。
本記事では、生成AIアプリを誰でも簡単に構築できるプラットフォーム「Dify」を活用し、実際の業務を想定したユースケースを通じてAIアプリの実装方法を学ぶ「Difyトレーニング(入門編)」の概要をご紹介します。
実務でのプログラミング経験の少ない新卒社員が、簡単なトレーニングを通じてどのようにAI業務アプリを構築したのか、研修内容のポイントとともにお届けします。
Difyとは
研修内容に入る前に、まず「Dify」についてご紹介します。Difyは、オープンソースのAIアプリ開発プラットフォームです。ノーコード/ローコードで、誰でも簡単に生成AIアプリを構築できるのが特徴です。
【Difyの主な機能と特徴】
- 数百種類のAI言語モデルに対応
ChatGPT、Gemini、Claude、Hugging Faceなど多彩なLLMを選択・連携できます。 - 直感的な操作でカスタムチャットボットを作成
プロンプト連携やテキスト生成の仕組みを視覚的に組み立てられます。 - 高性能で柔軟なRAGエンジン
ドキュメント登録、Notion連携などを通じて独自のナレッジ(知識)を利用可能です。 - 様々なツールを活用したAIエージェントの構築
Google検索、社内システム、GitHubなどの外部ツールと接続できます。
トレーニング概要:新卒向けDify入門研修
今回の入門研修は、Difyをはじめて使う新卒メンバーを対象に、「Difyとは何か」「何ができるか」を体系的に学んでもらうためのトレーニングです。
カリキュラムは、Difyの基本要素の理解から始まり、AIエージェントを作るためのプロンプトエンジニアリングの知識、そして最終的には条件分岐を伴う実践的な「問い合わせ対応AIアプリ」を作成するハンズオンまでを一貫して行いました。
座学だけでなく、実際に手を動かして業務アプリを作ることで、AI活用の具体的なイメージを掴むことを目的としています。
トレーニングの内容としては、主に以下の項目を行いました。
- Difyの基本概念・基本要素について
- エージェントを作るために知っておくべきこと
- Difyアプリの基本パーツの説明と基本操作について
- アプリ作成ハンズオン
- アプリの公開と管理
Difyの概要・基本要素
研修の導入では、まずDifyの基本概念について学びました。Difyは、ノーコード/ローコードで誰でも簡単に生成AIアプリを構築できるプラットフォームです。
チャットボット、テキストジェネレーター、エージェント、ワークフローという4つの主要なアプリケーションを作成することができます。
Difyの最大の特徴は、ドラッグ&ドロップで視覚的にアプリを構築できる点です。処理の最小単位である「ノード」を繋ぎ合わせることで、複雑な処理を実現します。
例えば、ユーザーからの入力を受け取る「ユーザー入力」ノード、AIに推論させる「LLM」ノード、独自のドキュメントを参照する「知識検索」ノードなどがあり、これらを組み合わせることで柔軟なアプリ開発が可能になります。
【新卒メンバーの声】
「プログラミングの知識が少なくても、複雑なコードを一切書かずにノーコードでAIアプリケーションを組み立てられることに大変驚きました!ブロック(ノード)を視覚的・直感的に繋いでいくだけでAIが動く仕組みを作れるため、操作しながらすぐに全体像が掴めました。自分でもこんなに簡単にアプリを構築できるのかと感動し、AI開発に対するハードルが大きく下がりました。」
AIエージェントを作るために知っておくべきこと
次に、AIを自律的なエージェントとして機能させるための“頭脳”となる「プロンプトエンジニアリング」と「デザインパターン」について学びました。
LLM(大規模言語モデル)から期待通りの出力を得るためには、的確な指示(プロンプト)の設計が不可欠です。プロンプトを工夫することで、出力の質が向上するだけでなく、AIの無駄な処理を省きコストを抑えることにも繋がります。
設計の対象は指示文だけでなく、参照させるドキュメントやツールの定義まで含めた「モデルに渡す情報全体」に及び、これはコンテキストエンジニアリングとも呼ばれます。
また、AIに複雑な仕事を任せるための「エージェントデザインパターン」についても解説しました。タスクを細かく分けて順番に処理させたり、内容に合わせて最適なAIに処理を振り分けたりと、複雑な業務をAIにどう解かせるかという設計思想です。
こうした知識を通じて、AIを単なるチャットツールとしてではなく、自律的に動く「優秀なアシスタント」として設計する考え方を身につけました。
【新卒メンバーの声】
「単にチャット形式で質問に答えさせるだけでなく、目的・制約・出力形式まで踏み込んで『AIに何をさせたいか』を設計する重要性を学びました。的確な指示の工夫が品質向上やコスト削減に繋がるなど、AIを使いこなすための実践的なスキルが身につきました。」
問い合わせ対応アプリ作成ハンズオン
研修の総仕上げとして、ECサイトのお客様対応業務を効率化するAIアプリの作成ハンズオンを実施しました。
【ユースケースの要件】
- ユーザーが入力した問い合わせ文を受け取る
- 質問内容を「返品・交換」「配送確認」「商品への質問」に分類する
- 特定のキーワード(例:「商品が届かない」)が含まれていれば優先度を高に設定する
- 優先度と内容をもとに、適切な返信文を自動生成する
この要件を満たすため、新卒メンバーはDify上で複数のノードを駆使しました。
まず「質問分類器ノード」を使って問い合わせをカテゴリ分けし、「IF-ELSEノード」を用いて特定のキーワードから優先度を判定する条件分岐を作成しました。そして最後に「LLMノード」へ分岐ごとのシステムプロンプトを渡し、適切な返信案を出力させるワークフローを作成しました。
以下が、トレーニング内で新卒メンバーが作成したワークフローです。
【新卒メンバーの声】
「複雑なコードを書かずに設計ガイドラインを組み立てるだけで、実際のユースケースに沿った期待通りの動作をするAIが作れたことに驚きました。実際のアプリ作成を通じて、Difyの具体的な操作や実践的な活用方法を深く理解できました。」
まとめと今後の展望
今回の「Dify入門研修」を通じて、新卒社員たちは生成AIの基本概念から、プロンプトエンジニアリング、そして実際の業務を想定したアプリ開発までを短時間で習得することができました。
非エンジニアであっても、簡単なトレーニングを受けるだけで、実業務の課題を解決するAIツールを自ら生み出せるのがDifyの大きな魅力です。
キーウォーカーでは、今回ご紹介したような社内研修による人材育成をはじめ、AIエージェントの開発や、Difyなどのツールを用いたPoC(概念実証)など、お客様のデータ活用を幅広く支援しております。
「自社のこの業務、AIで自動化できないかな?」「社内データを活用したチャットボットを作りたい」といったお悩みがある方や「このブログと同じような研修をやってみたい」と思った方は、ぜひお気軽にキーウォーカーまでご相談ください。お客様の課題に合わせた最適なAIソリューションをご提案いたします。
