【Dataiku 15 新機能】複数の目的変数を同時に予測!マルチターゲット回帰の使い方

1. はじめに:複数変数の予測課題とDataiku 15の新機能

機械学習のプロジェクトにおいて、「売上と利益」や「温度と湿度」など、複数の関連する変数を同時に予測したい場面は少なくありません。Dataikuのバージョン15では、こうした課題を解決する新機能として「マルチターゲット回帰(Multi-target Regression)」が追加されました。

この機能の最大の魅力は、なんといっても「複数の目的変数を1つのモデルで同時に予測できる点」にあります。さらに、従来の単一目的変数の予測(シングルターゲット予測)とほとんど同じ手軽な手順で実装できるのも嬉しいポイントです。

本記事では、1モデルで複数変数を予測するマルチターゲット回帰の仕組みや、Dataikuでの具体的な使い方、そして実運用におけるメリット・デメリットについて詳しく解説します。

Dataiku 15のマルチターゲット回帰の紹介画像

2. マルチターゲット回帰を用いた解決策のアプローチ

2.1. 複数の目的変数を1モデルで予測する仕組み

マルチターゲット回帰は、その名の通り複数の目的変数を同時に予測する手法です。特徴の一つは、目的変数同士の相関関係を加味しながら学習を進められる点にあります。例えば、「売上」と「利益」という関連の深い変数を予測する際、お互いの変数の関係性をヒントにして予測できるため、一つずつ別々に予測するよりも、より現実に近い自然な予測結果が得られやすくなります。

2.2. 単一ターゲット予測との構造的な違い

従来の単一ターゲット予測で複数の変数を予測しようとした場合、「目的変数の数だけモデルを作成・管理する」必要がありました。例えば3つの変数を予測するなら、3つの独立したモデルが必要です。

一方、マルチターゲット回帰では、目的変数がいくつあっても構築するモデルは「1つ」で済みます。これにより、モデリングのアプローチやプロジェクトの構造が劇的にシンプルになります。

3. Dataiku 15での具体的な導入手順

3.1. データセットの準備とターゲット設定

Dataiku上での操作は、従来の予測モデル構築と非常に似ています。学習に使用するデータセットを選択した後、「ラボ(Lab)」タブから「Multi target regression」を選択します。

LabタブでMulti target regressionを選択する画面

続いてターゲット(目的変数)を選ぶ画面が表示されるので、予測したい変数を複数選択します。なお、ここで選択できるのは回帰予測が可能な「数値データ」のみとなります。

予測対象となる複数の数値変数を選択する画面

3.2. マルチターゲット回帰モデルの学習と評価

ターゲット設定後は、シングルターゲット回帰と同様にメトリクス、特徴量、モデルの種類などを設定して学習を実行します。

マルチターゲット回帰の学習条件を設定する画面

学習完了後には、特徴量重要度(Feature importance)の確認が可能です。また、部分依存グラフや散布図などは「目的変数ごと」に切り替えて確認できるため、各ターゲットに対する特徴量の効き具合を詳細に分析できます。

学習済みモデルの特徴量重要度を確認する画面

モデルの評価が完了したら、従来通りフロー上にデプロイします。デプロイされたモデルを使ってスコアリングレシピや評価レシピを作成すると、1つのレシピを実行するだけで複数の目的変数の予測値がまとめて出力されます。

複数の目的変数をまとめて予測するスコアリングの画面

4. マルチターゲット回帰運用のメリット・デメリット

マルチターゲット回帰は、モデリングを効率化し予測精度を向上させる強力な機能ですが、一方で適用できる条件にはいくつか制限もあります。実際のプロジェクトに導入する前に押さえておきたいメリットとデメリットを整理しました。

4.1. メリット:モデリングの効率化と変数間の関係性考慮

  • 汎化性能の向上: 同時に複数の変数を予測し、目的変数間の相関関係を学習に活かせるため、結果としてモデルの汎化性能が向上する場合があります。
  • 管理コストの削減: 目的変数が複数あっても1つのモデルで済むため、運用フェーズでのモデル管理・監視のコストを大幅に削減できます。
  • 推論速度の向上: 複数のモデルを並行して動かす必要がないため、スコアリング時の推論処理も高速化されます。

4.2. デメリット・注意点:運用時に気をつけるべきこと

  • 選択できるアルゴリズムの制限: マルチターゲット回帰に対応しているアルゴリズムしか選択できないため、選べるモデルの幅は狭くなります。デフォルトで選択可能なのは、ランダムフォレスト(Random Forest)、リッジ回帰(Ridge Regression)、単層パーセプトロンに限られます。 マルチターゲット回帰で選択可能なアルゴリズムの一覧
  • データと環境の制限: 細かい点ですが、パーティションされたデータセットでは実行できないなど、使用できるデータ形式や環境に一部制限があるため、事前の仕様確認が必要です。

5. まとめと今後の展望

Dataiku 15のマルチターゲット回帰は、複数の予測による汎化性能向上や運用コストの削減というメリットをもたらす機能です。対応アルゴリズムなどの制限を理解した上で活用すれば、データサイエンスの実務において非常に有効な選択肢となるでしょう。

ぜひ、この記事を参考にマルチターゲット回帰を試してみてください。

弊社では、Dataikuを活用した高度な機械学習モデルの開発やAIソリューションの導入支援を行っております。「Dataikuの運用で困っている」「最新機能を自社業務にどう組み込めばいいか分からない」といったお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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