確度はただの感想?~機械学習で営業確度を補正する~

「今期の着地見込みは78.0億円です。確度ベースだと86.0億円でした。差の8.0億円のうち4.2億円は、チーム全体が確度を高めに付けているために生じた差です」

何気ない期末報告に見えますが、しかし

(1)最終的な着地見込みの額
(2)確度をそのまま足した額との差
(3)その差の理由

これらを、しっかり分解し、なおかつ「データに基づいて」説明すること、できていますか?

機械学習モデルの力を生かせば、この差の説明や補正が可能です。この記事でご紹介いたします!

例えば、こんなこと、解決してみませんか?

・確度Aを付けた案件が、期末に何件も失注した
・着地見込みが、毎期のように実績を上回る
・確度を割り引いて読むべき担当者が何人もいる
・プリセールスを入れる案件を、経験で決めている

現場の勘

担当者100人の営業グループの最終責任者になったとしましょう。いま手元には、担当者が案件ごとに付けた確度A・B・Cの一覧があります。

担当者が案件ごとに付けた確度A・B・Cと案件金額の一覧

社内ルールでは、以下のように確度を決めています。

営業確度の社内ルール
確度 社内ルール
A だいたい80%
B だいたい50%
C だいたい20%

このパーセンテージを案件の金額に掛けて足せば、感覚ベースでの着地見込みは計算できます。しかし、これって指標としてどこまで有効なんでしょうか?

いざ検証

受注・失注の正解が分かっている架空のデータを利用します。

<設定>

検証に使用する架空の営業データの設定
項目 前期 今期
担当者 100人 100人
全社での担当業界 10業界 10業界
案件 3,000件
(全部確定)
受注済み:20億円
商談中:3,000件
分かっていること 確度・金額・
受注結果
商談中の案件は、
確度と金額だけ
確度のままで見込んだ額 65.5億円 86.0億円

・受注済み20億円
・商談中66.0億円
実際の受注額 57.1億円 まだ分からない

簡単のため、担当者ごとの確度の付け方と、業界ごとの受注のしやすさは、前期と今期で変わらないものとします。

塵も積もれば

①確度をそのまま使う

架空のデータなので、3分クッキングよろしく、今期の実績(77.9億円)も、前もって分かっています。これを答え合わせに使っていきます。

方法①=確度をそのまま足した着地見込みは86.0億円で、実績の77.9億円より8.1億円(10%)多くなりました。ところで、この8.1億円の差は、原因によって2つに分けることができます。

・全員こぞって楽観的な傾向がある(②)
・担当者によるばらつきがある(③)

この②や③を補正するとかなり実績に近い値が出るわけです(下図参照)。ここから解説していきます。

3つの方法による着地見込みの比較。確度をそのまま使うと86億円、チーム全体の補正で81.8億円、担当者の個人差の補正で78億円

②チーム全体の傾向を補正

②の補正は、前期実績さえあればエクセル一つでも試せる代物です。手順は2つです。

・前期の案件を確度A・B・Cに分け、確度ごとに受注率を計算する。
・今期の着地見込みを計算するときに、社内ルールの代わりに、前期の案件から計算した受注率を使う。
確度ごとの社内ルール目安と前期の受注率
確度 社内ルール目安 前期、結局の受注率
A 80% 68%
B 50% 44%
C 20% 24%

検証してみると確かに「A>B>C」という序列は正しくマーキングできているようです。なので、「ただの感想」として切り捨てるのはいただけません。

ただし、確度Aと確度Bの受注率は社内ルールの目安より低くなっています。そこで行った②の補正では、着地見込みが81.8億円になり、4.2億円、誤差を減らすことができました。

③担当者の個人差を反映

先ほどのグラフにあったように、今回最も精度が高いのがこの③の方法です。

②の補正の後にも、実に3.9億円の差が残りました。3.9億円の差の主な原因は、担当者ごとに確度の付け方が違うことです。これを下記のような機械学習モデルで補正することで、高い精度を得ているのです。

さらにこの方法だと、78億円決め打ちではなく、悲観的な見積もり、楽観的な見積もりも併記することが可能です。この試算も統計的に補正されています。

担当者ごとの確度の付け方をモデルで補正し、着地見込みと悲観・楽観の範囲を算出する流れ

より確かな意思決定へ

ここで改めて、確度に対する実際の受注割合のばらつきを観察すると、以下のようになりました。確かにこれで見込みを出せば、リスクが伴うだろうな…という感じですね。

100人の担当者ごとの確度Aの受注割合を示した分布図

さて、担当者ごとの確度Aの「真の受注確率」が分かれば、部やグループ単位では、次のような意思決定が可能になります。

・経営層に、精度の高い見込み額78.0億円を報告
 ・悲観75.1億円・中間78.0億円・楽観81.0億円の3パターンで示す(実績が悲観〜楽観に入る確率は80%)
・確度Aなのに補正後の受注確率が50%未満になる7件を「要注意案件」とし、担当者に確認
補正前後の着地見込み、悲観・楽観の範囲、要注意案件を確認できる営業ダッシュボード

③の補正を始めるには、次の3つの作業が必要です。ただこれは、エクセル単体で行う補正よりも、実現の難易度は上がります。

・確度と受注結果を、案件ごとに同じ表に記録する。
・担当者ごとの確度の付け方の違いを、機械学習モデルで推定する。
・担当者の確度の付け方は時期によって変わる可能性があるため、毎期、補正の値を計算し直し、実績と比べて補正が正しいかを確かめる。

弊社AIソリューション部では、様々なAI・機械学習モデルの開発や、モニタリング用ダッシュボード、モデルの保守更新を、まとめてご支援しています。ぜひお気軽にご相談ください!

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